商品カタログの寸法図、仕様図、CAD図面という3つのものは、現場ではほぼ同じ意味で使われ、実際には半分近く間違った形で提供されています。バイヤーはチャット画面に「CADを送ってください」と打ち込みますが、本当に知りたいのは「これは実際どれくらいの大きさなのか」というシンプルな答えだけです。サプライヤー側は「CAD」と聞くと、製図担当者に3日がかりの作業を割り当て、結局は先方の誰も開けないファイルができあがります。どちらの側も、コーヒーを一杯淹れる時間で答えられたはずの質問に、時間を無駄にしています。
この3つは互換性のあるものではありません。作る人も違えば、見る人も違い、答える問いも違います。この3つを混同することが、見積もりが止まる、問い合わせが冷める、サプライヤーが誤った成果物に予算を使ってしまう原因になっています。この記事では、それぞれが実際には何なのか、バイヤーがどんな場面でどれを本当に必要としているのか、そして最も成約につながりやすい資料が、なぜ最初に思いつかれないことが多いのかを整理します。
商品カタログの寸法図と仕様図、CAD図面の違い
混同はここから始まることが多いので、まずはそれぞれを平易な言葉で定義します。
寸法図は、正面図・側面図、場合によっては上面図といった、商品のシンプルな線画に主要な寸法を直接書き込んだものです。写真もテクスチャも色もありません。家具カタログでよく見かける、ソファのシルエットに底辺沿いに「208cm」、アームの高さに「86cm」と書き込まれているようなものです。この種の商品カタログ寸法図には、エンジニアリング並みの精度は必要なく、価格やSKU番号と並んだときに5秒で読み取れることが求められます。
仕様図は、実際の商品写真の上に寸法の吹き出し、ラベル、場合によっては注目ポイントを直接重ねたものです。抽象的な線画ではなく、実際の生地、実際の金具、実際の仕上げをバイヤーはそのまま見ることができ、寸法は実物に紐づいています。多くのB2Bバイヤーが「サイズを見せてほしい」と言うとき、名前は知らなくても頭の中でイメージしているのはこの仕様図です。
CAD図面(またはCADファイル)は、SolidWorks、AutoCAD、Fusion 360といったCADソフトウェアが出力するエンジニアリング品質のデータです。ASMEなどが標準化した記号や表記法を使い、正確な形状、公差、材質、多くの場合は組立手順まで定義します。これは機械加工の担当者や品質検査担当者が部品を正確に再現するためのものであり、バイヤーが発注を判断するためのものではありません。
| 寸法図 | 仕様図 | CAD図面/ファイル | |
|---|---|---|---|
| 作成する人 | プロダクトデザイナーまたはカタログ制作担当者 | 営業担当、マーチャンダイザー、またはサプライヤー自身の撮影チーム | 機械設計エンジニアまたは製品エンジニア |
| 読む人 | SKUを一目で比較するカタログバイヤー | 商談前に、この商品が自分のニーズに合うか判断するバイヤー | 機械加工担当者、品質検査担当者、製造エンジニア |
| 示す内容 | 主要な寸法を書き込んだシンプルなシルエット | 寸法と吹き出しを重ねた実物の商品写真 | 正確な形状、公差、材質、GD&T記号 |
| 一般的なファイル形式 | PDF、AI、またはシンプルな線画画像 | JPG/PNG、商品ページやカタログにそのまま掲載 | STEP、IGES、DWG、またはCADネイティブ形式(SLDPRTなど) |
| 典型的な用途 | 家具・生活雑貨カタログで、寸法感を一目で伝える | バイヤーが発注する前に「サイズが合うか」に答える | 製造への引き継ぎ、治工具製作、特注加工 |
| 精度レベル | おおよそ——購買判断には十分 | 写真に写っているその個体については正確 | エンジニアリング公差、ミリ単位以下まで |
覚えておくべきことは一つです。寸法図は形と大きさを伝え、仕様図は実物にサイズを裏付けて見せ、CAD図面は機械に部品を正確に再現させるための指示を伝えます。役割も、読み手も違います。
それぞれをどんな場面で使うか
どの資料を送るべきかは、誰が何のために使うかだけで決まります。どちらが見栄えするかではありません。
バイヤーが「これは実際どれくらいの大きさですか」と聞いてきたとき
これはB2B取引における最も一般的な商談前の質問であり、ほとんどの場合エンジニアリングデータを求めているわけではありません。バイヤーが知りたいのは、荷降ろし口を通るか、店舗の棚に収まるか、顧客のリビングに置けるかといった実務的な問いです。「仕様図 CAD図面 違い」で検索すると、出てくる情報の多くはエンジニア向けを前提にしていますが、大半のB2Bバイヤーはエンジニアではありません。仕様図が最も早く答えを出せるのは、バイヤーが実物と実際の数値を同じ画像の中で確認でき、抽象的な線画から頭の中で変換する必要も、専用ソフトがないと開けないファイルを待つ必要もないからです。すでに手元にある商品写真に正確な寸法の吹き出しをそのまま重ねることがここで効いてきます。CADのライセンスを開くことも、制作担当者の順番待ちをすることもなく、数分で共有しやすい自社ブランドの仕様図が手に入ります。
特注品・受注生産品の見積もり
バイヤーが受注生産品——特注のソファの長さや、規格外のキャビネット幅など——を探している場合、商品カタログ寸法図か仕様図でたいてい事足ります。バイヤーが確認したいのは、手付金を払う前にその商品が自分のスペースに収まるかどうかであり、自分で加工するわけではありません。バイヤーが部屋のレイアウトを検討していて、自分の間取りソフトに読み込めるシンプルなシルエットが必要な場合には、縮尺付きの線画が役立ちます。レイアウト検討用に縮尺通りの図面をはっきり求められた場合に限り、寸法図が写真ベースの仕様図に勝ります。これはもともと抽象的であることが目的だからです。
工場や機械加工業者への製造引き継ぎ
これはCAD以外では成立しない唯一の場面です。特注ブラケットを切削する機械加工担当者、射出成形金型を立ち上げる工場、量産品を公差通りかチェックする品質管理チーム——いずれも写真では絶対に伝えられない正確な形状と寸法表記の規則を必要とします。CADファイルは形状を定義し、そのCADファイルから派生した技術図面は、公差、表面仕上げ、組立順序といった設計意図を現場に伝えます。時間を節約するためにこの工程を省略すると、部品が公差外で戻ってくることになります。両者の間に位置する注釈レイヤーについては、工業製品向け仕様図を扱った関連記事もあわせてご覧ください。これは現場の公差ではなく、バイヤーの質問に答えるために作られたものです。
よくある混同ポイント
ここで無駄になっている労力のほとんどは、対照的な2つの間違いに起因します。
バイヤーは「CADファイルが欲しい」と言いながら、実際には正確な寸法だけを必要としています。「CADを送ってください」はほぼ決まり文句になっていて、社内にエンジニアもおらず、CADファイルを開くソフトも持っていないバイヤーでも「実際のサイズを知りたい」という意味でこう言うことがあります。この要求を文字通り受け取ったサプライヤーは、バイヤーが使えない成果物を作ることになり、本来なら仕様図でわずかな時間で答えられたはずです。バイヤーがどのファイル形式が必要か、それをどう使うのかを説明できない場合、ほぼ確実に必要なのはエンジニアリングファイルではなく寸法図です。
**サプライヤーが商談前のマーケティングにCADを過剰投資しています。**技術力があるように見せようとして、バイヤーから一件も質問が来ていない段階で、カタログの全商品にフルセットのCAD図面を発注するサプライヤーもいます。これは順序が逆です。CADは制作コストが高く、納期も長く、しかも商談前の問い合わせの95%はそもそもCADが答える種類の質問をしません。仕様図がB2B受注につながる理由は、エンジニアリング的な精密さではなく、分かりやすさとスピードにあります。バイヤーが5秒で読み取れる正確な仕様図のほうが、二度と開かれることのないCADファイルより、はるかに多くの問い合わせを受注につなげます。
境界線ははっきりさせておきます。量産に入る特注部品、他の部品と嵌合させる必要があるコンポーネントなど、バイヤーが本当に製造レベルの公差を必要としている場合、仕様図はCADの代わりにはなりません。それはエンジニアリングの領域であり、これからもそうあり続けます。しかし「これは収まりますか」「実際どれくらいの大きさですか」と聞いてくるバイヤーに対しては、注釈付きの明確な写真のほうが、CADファイルや抽象的な線画よりも早く答えを出せます。実物と実際の数値を一目で確認できるからです。専門用語を取り除けば、本質的な問いは技術図面と商品写真のどちらを使うかということであり、商談前のサイズ確認に関しては、ほとんどの場合写真に軍配が上がります。バイヤーは実際に購入しようとしているものと直接照合できるからです。
簡易チェックリスト:この問い合わせに本当に必要なのはどれか
数十のSKUにわたって商品カタログ寸法図を標準化するなら、勘に頼らず、何を作るか決める前にバイヤーの実際の質問をこのリストと照らし合わせてください。
- バイヤーが「自分のスペース/トラック/棚/入口に収まるか」と聞いてきた → 仕様図(注釈付き写真)が最も早く答えられる
- バイヤーがカタログ内の複数SKUの寸法を比較している → 寸法図、またはシンプルな仕様表で対応できる
- バイヤーが部屋のレイアウトや間取りの検討について触れた → 縮尺通りの寸法図。写真ではなく抽象的なシルエットが必要なため
- バイヤーの設計・調達チームがこちらの部品を基準に設計している → 指定された形式のCADファイル(作成前に必ず確認する)
- バイヤーが量産ロット全体で公差が同一であることを確認したい → CADと技術図面のセット。いかなる図でも代用不可
- CAD予算のないまま初めての商品カタログを作っている → まず全SKUを仕様図で用意し、具体的な要望があったときだけCADを発注する
よくある質問
寸法図とは何ですか?
寸法図とは、正面図・側面図・上面図など、商品のシンプルな線画に主要な寸法を直接書き込んだものです。色やテクスチャ、写真としての質感はなく、形と大きさだけを示します。商品カタログ寸法図が最も役立つのは、バイヤーが一つの商品の正確な寸法を確認したいときではなく、複数のモデルの大きさを一目で比較したいときです。
発注前にCADファイルは必要ですか?
標準的なカタログ購入であれば、必要になることはほとんどありません。「CADが欲しい」と言うバイヤーの多くは、実際には正確な寸法を求めているだけで、それは仕様図や寸法図でも同じように、しかもはるかに速く答えられます。CADが本当に必要になるのは、バイヤー側の設計・製造チームがこちらの部品を基準に設計したり、それを正確に再現したりする必要がある場合だけです。
仕様図と技術図面はどう違いますか?
仕様図は、実際の商品写真に寸法の吹き出しとラベルを重ねたもので、バイヤーの商談前のサイズに関する質問に答えるために作られます。技術図面は、多くの場合CADファイルから派生したエンジニアリング文書で、製造のための公差、材質、組立の詳細を規定します。一方はバイヤー向け、もう一方は工場向けです。
商品写真はCAD図面の代わりになりますか?
製造目的では代わりになりません。写真ベースの仕様図は、撮影されたその個体については正確な寸法を示し、購買判断には十分な精度がありますが、機械加工担当者が必要とする公差、材質仕様、組立情報は一切含まれていません。量産や嵌合が必要な部品については、CADが唯一の信頼できる情報源であり続けます。
海外のバイヤーはサイズが知りたいだけなのに、なぜ「CAD」を求めてくるのですか?
「CAD」は、越境取引の現場では「実際の寸法を証明するファイル」を指す非公式な略語のようなものになっています。これは、初期のB2Bプラットフォームがサイズ確認の手段として技術図面のアップロードしか用意していなかったことも一因です。「この部品を基準に設計されているのか、それとも収まるかどうかだけを確認したいのか」と一つ聞き返してみると、名指しで要求されたCADファイルよりも仕様図のほうが早く答えられるケースがほとんどだと分かります。
出典・参考文献
ASME Y14.5 — Dimensioning and Tolerancing Standard
Dimensioning on Drawings — Wikipedia
Alibaba.com Rules Center — Product Listing Information-Editing Guidelines
CAD Files vs Technical Drawings: When You Need Both — SimpleMachining
BIM vs. CAD Files: What's the Difference? — Thomasnet
