有効働き幅と全幅の違い:1,000 mm の板で葺けるのは 840 mm

有効働き幅と全幅の違いが必要枚数を決めます。1,000 mm の板が覆うのは 840 mm。プロファイル別一覧表、枚数の計算式、25% の不足がどこから来るかを整理します。

有効働き幅と全幅の違い:1,000 mm の板で葺けるのは 840 mm

有効働き幅と全幅の違いは、建材貿易でいちばん安く犯せて、いちばん高くつく取り違えです。見積書に「幅 1,000 mm」と書かれた屋根板が、施工後に覆うのは 840 mm。見積書の幅を使って 12 m の屋根の枚数を出すと、3 枚足りません。しかも気づくのは現場で、クレーンが引き上げた後です。

二つの数字はどちらも実在し、どちらも正しく、数量計算に入れてよいのは片方だけです。どちらを使うのか、そして不足を最初から作らない見積書の書き方を整理します。

有効働き幅と全幅の違い、それぞれの定義

全幅(総幅、中国のミル仕様では 展開宽度)は、成形後の板の端から端までの寸法です。つまり、その板を成形した鋼板コイルの幅そのもので、そこから差し引くものはありません。

有効働き幅(有効幅、被覆幅、正味カバー幅)は、隣の板との横重ねを取った後で、その 1 枚が仕上げ面に足す幅です。

差の正体は横重ねで、最後の 1 枚を除くすべての継ぎ目で消費されます。つまり、

必要枚数 = 屋根幅 ÷ 有効働き幅、切り上げ。屋根幅 ÷ 全幅では絶対にありません。

この差は、多くの買い手が思っているよりはるかに大きいものです。山が深くピッチの広いプロファイルほど損失が大きく、波形は 1 山まるごと重ねないと止水できないからです。

12 m の屋根で実際に計算する

片流れ 1 面の幅を 12,000 mm とし、中国系プロファイルでよく出る屋根板 YX35-280-840 を使います。山高さ 35 mm、山ピッチ 280 mm、有効働き幅 840 mm、1,000 mm コイルからの成形です。

計算方法 計算式 発注枚数 結果
全幅で計算(誤り) 12,000 ÷ 1,000 12 10,080 mm を覆う。1,920 mm が野地のまま
有効働き幅で計算(正) 12,000 ÷ 840 = 14.29 15 12,600 mm を覆う。最後の 1 枚から 600 mm 切り落とし

12 枚に対して 15 枚。素朴な数え方より 25% 多い材料ですが、この差は無駄ではありません。もともと存在しえなかった量です。12 枚の発注は「少しきつい」のではなく、2 m 近い開口を残します。

実際の発注では、さらに次が乗ります。

  • 縦重ね:板 1 枚を超える長さの屋根には必須で、勾配にもよりますが通常 150–300 mm。引かれるのは幅ではなく長さです。
  • 切り代 10–15%:隅棟、谷、貫通部、破損板のぶん。
  • 最後の 1 枚はほぼ確実に半端です。必ず切り上げます。

有効働き幅に切り代 12% を足した発注なら、ほぼ収まります。全幅で組んだ発注は、余裕を足しても届きません。

プロファイル別の有効働き幅

プロファイルの系統ごとに、失う量は違います。輸出見積で登場頻度が高いのは次のものです。

プロファイル 全幅 有効働き幅 損失 備考
YX35-280-840(屋根) 1,000 mm 840 mm 16% 型式の 3 番目の数字がそのまま有効働き幅
YX38-300-900(外壁) 1,130 mm 900 mm 20% 働き幅は広いが、1 枚あたりのコイル消費も多い
YX35-125-750(デッキプレート) 1,000 mm 750 mm 25% 深山デッキがいちばん損をする
Ag panel / マルチリブ 38″(965 mm) 36″(914 mm) 5% 片側 1″ の横重ね
PBR / R-panel 36″(914 mm) 34–36″ 0–6% 母屋受け脚を重ねるかどうかで変わる
⅞″ 波板 39″(991 mm) 34.67″(881 mm) 11% 横重ね 4.33″。材料は約 12% 増しが必要
½″ 波板 26″(660 mm) 21.33″(542 mm) 18% 横重ね 4.67″。材料は約 23% 増しが必要
立平葺き 18″(457 mm) 12–18″ 0–33% 働き幅はハゼの形式と板幅の選択で変わる

この表からは二つ読み取れます。幅が広く見える板が、必ずしも効率の良い板ではありません。YX38-300-900 は YX35-280-840 より 1 枚あたり広く葺けますが、そのために 1,130 mm のコイルを食うので、仕上がり屋根 1 m² あたりでは鋼材を多く使います。もう一つ、⅞″ 波板は ½″ 波板より材料でおよそ 11% 有利です。見た目は重いプロファイルですが、横重ねが大きい板の中で占める割合が小さいという、ただそれだけの理由です。

その数字は型式の中に隠れている

GB/T 12755 に基づく中国の成形鋼板の型式表示は、これを直接コード化しています。YX(圧型=成形)に続いて、山高さ、山ピッチ、有効働き幅の順です。YX35-125-750 の 750 が有効働き幅で、コイルは 1,000 mm。歩留まり 75% が型番の中で公然と宣言されています。3 番目の数字が板幅ではなく働き幅だと知っていれば、の話ですが。

欧州と英国のボックスプロファイルは、通常データシートに両方を "overall width" と "cover width" と明記して載せます。北米のプロファイルは働き幅だけで呼ぶのが一般的で、「36 インチ板」とは 38 インチの板から 36 インチ葺けるという意味です。だから同じ言い回しが、見積書のどちら側に立っているかで別のものを指します。

この不一致こそが根本の問題です。売り手が嘘をついているのでも、買い手が不注意なのでもありません。同じ言葉で二つの異なる慣習を読んでいるだけです。

不足が実際に牙をむく 4 か所

1. 見積書。 全幅しか書かれていない枚数単価の見積は、買い手に 15–25% 不足した数量表を作らせます。m² 単価はもっと悪く、曖昧だからです。鋼材の 1 m² なのか、葺き上がりの 1 m² なのか。両者の差は、上の損失欄そのものです。

2. パッキングリスト。 板は枚数で梱包されて出荷されます。現場の数量が全幅で拾われていた場合、不足が判明するのは最後の梱包を解いたときで、それは最も高くつく瞬間です。

3. 外壁材と役物。 外壁の割付は短く、開口で分断される回数も多いので、開口ごとの切り上げ損失が比率として大きくなります。窓の見込みが一つ増えるたびに、半端板を伴う新しい割付が一列生まれます。

4. 請求をめぐる争い。 買い手の計算と売り手の計算が 3 枚食い違ったとき、その議論が営業メールで決着したことはありません。決着させるのは、どちらの幅を使ったかを明記した図面を持っている側です。

次にやること

成形鋼板を売る側なら、次の三つでこの種の争いはまとめて消えます。

  1. すべての見積書とデータシートに両方の幅を書く。 ラベルを明示して「全幅 1,000 mm / 有効働き幅 840 mm」と併記し、片方だけにしないことです。
  2. 枚数計算を見積書の中でやってみせる。 屋根幅 ÷ 有効働き幅、切り上げ、切り代は別行。割り算が見えている買い手が、それを間違って計算し直すことはありません。
  3. 断面図を価格の隣に置く。 山形状を描き、横重ねに寸法を入れ、全幅と有効働き幅を別々の寸法として引き出し、縦重ねの要求を注記した断面図は、質問される前に答えを出します。

見積を注文に変えるのは、三つ目です。そしてそれは寸法として正直でなければなりません。有効働き幅の寸法線は、実際のプロファイル上の実際の重ね位置の間を通っている必要があります。買い手はそこから数量を拾うからです。寸法を実形状にスナップさせ、マーケットプレイスや入札ポータルが要求するサイズで図面を書き出せるソフトなら、積算担当者が当てにできる数字が出ます。描き直しや AI 生成の断面は、働き幅らしく見えて働き幅ではない数字を返します。同じ原則が建材の寸法表記の仕方全般を支配し、あらゆる建材スペック図の核心でもあります。板単位ではなく箱単位で売る製品では、対応する落とし穴が1 箱あたりの施工面積です。

よくある質問

有効働き幅と全幅の違いは何ですか。

全幅は板の端から端までの寸法で、有効働き幅は隣の板に横重ねを取られた後、その 1 枚が仕上げ面に足す量です。数量計算に入れてよいのは有効働き幅だけです。差は、山の浅い農業用板の約 5% から、深山デッキプレートの 25% まで幅があります。

屋根板は何枚必要ですか。

屋根面の幅を板の有効働き幅で割って切り上げ、面ごとに繰り返します。切り代・隅棟・谷・貫通部として 10–15% を足し、板 1 枚を超える流れ長さには 150–300 mm の縦重ねを見込みます。この割り算に全幅を使うと、横重ねの割合ぶんそのまま発注不足になります。

YX 型式の数字は板幅を表しますか。

いいえ。GB/T 12755 の表示 YX35-280-840 では、三つの数字は山高さ(35 mm)、山ピッチ(280 mm)、有効働き幅(840 mm)です。成形元のコイルはそれより広く、840 のプロファイルなら通常 1,000 mm です。3 番目を板幅と読むのが、この型式のいちばん多い誤用です。

屋根板は枚数単価と m² 単価のどちらで出すべきですか。

枚数単価なら曖昧さがありません。m² 単価にするなら、その平米が材料の平米か葺き上がり面積の平米かを明記する必要があります。両者は横重ね損失のぶんだけ違うからです。見積書に修飾語なしで「m² 単価」とあれば、数量表を組む前にどちらかを確認してください。

幅の広い板のほうが鋼材を多く使うことがあるのはなぜですか。

材料使用量を決めるのは幅ではなく被覆効率だからです。1,130 mm コイルから成形した働き幅 900 mm のプロファイルは、葺き上がり 1 m² あたり鋼材 1.256 m² を使います。1,000 mm コイルからの働き幅 840 mm のプロファイルは 1.190 m²。働き幅の狭いほうが効率の良い板です。

参考資料

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Cover Width vs Overall Width: 1,000 mm Covers 840