パレットの積載荷重はどれくらいでしょうか。いま口をついて出た一つの数字は、まず間違いなく不十分です。バイヤー側の倉庫技術者はそれを知っています。同じ 1200 × 800 mm のフットプリントを持つ二つの公開されたユーロパレットが、まったく違う値を掲げています。EPAL は EPAL ユーロパレットの安全使用荷重を 1,500 kg と公表し、CHEP は自社の B1208A 木製ユーロパレットの最大積載能力を 1,000 kg としています。どちらも誤りではありません。答えている問いが違うのです。
このずれが、見積もりの差し戻し、ラックの過積載、そして最後には保険会社からのデータシート請求につながります。以下では、輸出サプライヤーがパレットの積載荷重で繰り返し間違える六つの点、公開された仕様書と試験規格が実際に何と書いているか、そして誰にも推測させないために梱包仕様へ載せるべき四つの数字を整理します。
まず、この一文から始めてください。パレットの荷重定格はパレット自体の性質ではありません。パレットと、その支持のされ方と、上に載る荷物の三つで決まる性質です。
誤解 1:ユーロパレットは 1,500 kg 積める
EPAL が公表する EPAL ユーロパレットの仕様は、長さ 800 mm、幅 1,200 mm、高さ 144 mm、質量およそ 25 kg、安全使用荷重 1,500 kg です。同じページには別の制限も併記されています。積載済みパレットを堅固で平坦な床面に段積みする場合、最下段のパレットにかかる荷重は 5,500 kg を超えてはならない、というものです。
CHEP の B1208A 木製ユーロパレットのカスタマーデータシートは、同じ公称 1200 × 800 mm、高さ 144 mm、標準質量 25〜26 kg のパレットを説明しながら、最大積載能力を 1,000 kg としています。重要なのは脚注です。この数値には「ラック保管(RAL、RAW)と、積載状態での動的な荷役が含まれる」と書かれています。
二つの脚注を並べれば矛盾は消えます。EPAL は EPAL 製造規格に沿って製造・修理されたパレットの使用荷重を公表しています。CHEP は、プール品が顧客倉庫で遭遇する最も厳しい支持条件をあらかじめ織り込んだ、一つの保守的な数値を公表しています。フットプリントは同一でも、定格はフットプリントの関数ではありません。
つまり、どこかで見かけたという理由で製品データシートに「ユーロパレット、1,500 kg」と書いているなら、それは特定のパレット仕様に属する数字であって、寸法に属する数字ではありません。フットプリントは標準パレットサイズであり、積載能力は試験結果です。
誤解 2:静荷重と動荷重は同じ数字に安全率を掛けただけ
三つの用語は、物理的に別々の状況を指します。
動荷重は、フォークリフトやハンドパレットトラックで移動している最中に支えられる積載質量です。静荷重は、平坦で堅固な床の上に静止しているときに支えられる積載質量です。ラック荷重は、両端の二本のビームだけで支持され、中央に何もない状態で支えられる積載質量です。
これらは一つの数字に安全率を掛けた三通りの見方ではありません。バージニア工科大学の包装・ユニットロード設計センターは、パレットの積載能力を「安全に扱える最大積載質量」と定義し、それは二つの別々の性質、すなわち強度(パレットが破壊する荷重)と剛性(持続荷重下でのたわみ量)を試験して求めると説明しています。低いほうの値が定格になります。
平パレット規格のうち最大使用荷重を扱う ISO 8611-3 も同じ枠組みです。最大使用荷重とは、特定の積載条件および支持条件のもとでパレットが負担を許される最大の積載質量である、と定義しています。
この「特定の積載条件および支持条件のもとで」という一句が、この記事の核心です。支持条件を伴わない積載能力の数字は、単位のない数字と同じです。
誤解 3:フォークリフトで持てるならラックでも大丈夫
ラック保管は多くの場合、最も厳しい条件であり、その差は小さくありません。フォークの爪の上では荷重経路が短く、デッキはほとんどスパンを持ちません。二本のラックビームに渡した場合、パレットは長さ方向または幅方向の全長にわたって渡され、中央には何もなく、デッキボードがたわみます。そして定格を決めるのは通常、破壊ではなく、このたわみです。
試験規格はたわみに明確な上限を設けています。バージニア工科大学が挙げる限界値は次のとおりです。
| 支持条件 | たわみの限界 |
|---|---|
| ラック保管およびフォーク支持 | スパンの 1.9%(ASTM D1185)または 2%(ISO 8611) |
| 床段積み | スパンの 1.5%(ASTM D1185)〜2%(ISO 8611) |
| 下部デッキ | 0.6 in.(ISO 8611) |
| 自動倉庫 | 全体でおよそ 0.5 in.、部材で 0.25 in. |
強度試験に合格しても、破壊前にたわみが限界を超えたために定格が下がる、ということが起こります。最後の行にご注目ください。自動倉庫を運用するバイヤーは、人手の倉庫より厳しいたわみ予算で設計しています。「弊社の工場ではずっと問題なく使えています」が答えにならない理由がここにあります。
剛性は材質にも左右されます。同等の強度でも、プラスチック製や段ボール製のパレットは木製・鋼製よりたわみに縛られやすく、ほぼ同じ荷重で破壊する二枚のパレットの定格が大きく離れることがあります。
誤解 4:長さ方向のラック掛けと幅方向のラック掛けは同じ
倉庫にはこれを表す二つの略号があり、バイヤーの仕様書にも登場するので覚えておく価値があります。RAL は長さ方向のラック掛け、RAW は幅方向のラック掛けです。 どちらが該当するかは、ラックビームがパレットに対してどの向きに走っているかで決まります。そして一方で定格が出ているパレットが、もう一方でも自動的に同じ定格になるわけではありません。無支持スパンが変わるからです。
CHEP は B1208A のデータシートに、その実務版の注意書きを直接印刷しています。長さ方向にラック掛けする(RAL)際は、外周のブロック脚の表面の大部分が確実に支持されるようにすること、というものです。つまりブロックはビームの上に載っている必要があり、はみ出していてはいけません。同じパレット、同じ荷重でも、ビーム間隔が違えば結果は変わります。
バイヤーがラック定格を求めているのに、RAL か RAW かを示さない数字を一つ返すのは、回答したことになりません。
誤解 5:上に何を載せてもパレットの能力は変わらない
実際には、この一覧のどの項目よりも大きく変わります。この効果はロードブリッジングと呼ばれます。デッキ全体にまたがる剛性の高い荷物は曲げの一部を自ら負担しますが、柔らかい荷物は曲げをすべてデッキボードに押し付けます。
バージニア工科大学の数値は、その大きさを具体的に示しています。同じパレット群を柔軟なエアバッグではなくプラスチックペールで積載したところ、大半のパレット設計でたわみが 32% から 89% 低下しました。さらに完全にブリッジする荷物の場合として、48 × 40 in.、3.5 in. のトップデッキボード 5 枚と 1.5 in. のレッドオーク製ストリンガーを持つ二方差しストリンガーパレットが 27,000 lb もの荷重を支え得る、という例が示されています。
27,000 lb をバイヤーに提示してはいけません。引用すべきはそれが証明している事実のほうです。同じパレットでも、上に載るものによって能力の幅は極端に広い。だからこそ、支持条件と荷物の種類の両方を欠いた「積載能力:1,000 kg」という一行はほとんど意味を持ちません。ドラム、ペール、フレコンバッグはブリッジしにくく、密度の揃ったカートンはよくブリッジします。木枠入りの単体機械はその中間です。
誤解 6:段積み制限がパレットの荷重定格
多くの仕様書では、単位すら異なる三つの制約が一行に押し込まれています。
| 公表される制限 | 何を制約するか | 例 |
|---|---|---|
| 安全使用荷重 | 指定の支持条件下で 1 枚のパレットに載る積載質量 | 1,500 kg(EPAL ユーロパレット) |
| 積載済み段積み時の最下段パレットへの最大荷重 | 床段積みで最下段にかかる総質量 | 5,500 kg(EPAL、堅固で平坦な床面) |
| 最大段積み数 | 何段まで積めるかという数量 | 40 段(CHEP B1208A) |
段積み数は荷役指示、最下段パレット制限は段積み全体に対する床置きの制約であり、どちらも使用荷重ではありません。これらを取り違えることが、ラック条件で試験されたことのない数字までラックに積んでしまう原因になります。
パレットの積載荷重はどれくらいか。一つではなく四つの数字を公表する
| 公表すべき数字 | 答える問い | 併記すべき条件 |
|---|---|---|
| 動荷重・荷役荷重 | フォークリフトやハンドリフトで動かせる質量 | 前提とする荷役方法 |
| 静荷重・床段積み荷重 | 堅固な床の上に置ける質量 | 単段か、段積みの高さか |
| ラック荷重 | 二本のビームに載せられる質量 | RAL か RAW か、およびビームスパン |
| 風袋質量(自重) | 空パレットが出荷に加える質量 | 公称値、kg |
四つ目は、ほとんど誰も印刷しないのに静かにコストになる数字です。EPAL ユーロパレットは約 25 kg、CHEP B1208A は 25〜26 kg。20 パレットの出荷なら、およそ 0.5 トンのパレットが運賃のかかる貨物として動いていることになり、それは総重量にも、課金重量にも、トラックにパレットは何枚積めるかの計算にも現れます。積付けをきちんと計画するバイヤーは必ず尋ねますし、尋ねないバイヤーは計量台で気づきます。
同じ問題の寸法側面、すなわちパレットの公称寸法と実寸法、はみ出し、そしてそれらがコンテナ収まりをどう決めるかは、輸出パレット寸法で扱っています。
梱包仕様書の上ではどう見えるか
パレットをめぐる争いのほとんどは、工学の争いではなく、書類の争いです。「パレットの積載荷重はどれくらいか」を知りたい計画担当者があなたの PDF を開き、「1,000 kg」を見て、それがラックでも通用すると考え、そのまま仕様に落とします。
解決策は文章を増やすことではなく、一枚のパレット図です。それぞれの数字が、それが説明している対象のすぐ隣に置かれている図。実測のフットプリントと積載時の総高さを写真の上に記入し、フォークが実際に入る側に差し込み高さを引き出し、各荷重定格をそれが試験された支持条件と並べて印字する。これが仕様図と「装飾された写真」の違いです。図の寸法は実測値であり、写真のパレットの端に固定され、バイヤーの輸出仕様書テンプレートが求めるサイズで書き出されます。キャプションに打ち込んだ数字でも、測ってもいない、もっともらしいだけの数字を生成する画像ツールの出力でもありません。
実測に基づく図は翻訳も超えます。ラック方向に張った矢印の脇に「RAL 1,000 kg」とあれば、どの言語でも説明は要りません。ラックの向きを説明する文章のほうは、優れた翻訳者と辛抱強い読者を必要とします。
見積もり前のパレット荷重チェックリスト
- これから送る積載能力の数字に、支持条件(動荷重、床静荷重、RAL、RAW)が明記されている
- ラック定格に、ビームスパンまたはラック掛けの向きが記載されている(質量だけではない)
- 数字の出所が、そのパレット自身の仕様書または試験報告書である(ユーロパレット一般を論じた記事ではない)
- 荷物の種類(均一なカートン、ドラム、袋、木枠入り単体品)を明記している。ブリッジングが答えを変えるため
- 段積み指示と使用荷重が、それぞれの単位とともに分けて書かれている
- 空パレットの風袋質量を、正味重量・総重量と並べて公表している
- 積載時の高さとはみ出し量が、表だけでなく図にも入っている
- バイヤーが自動倉庫を運用している場合、見積もり前にたわみ限界を確認している
よくある質問
パレットの積載荷重はどれくらいですか。
パレットがどう支持されるかによります。誠実な答えは一つの数字ではなく、数字の組です。公開されているユーロパレットの使用荷重は、どの仕様書を読むかによって 1,000 kg から 1,500 kg の幅があります。EPAL は EPAL ユーロパレットの安全使用荷重を 1,500 kg、CHEP は B1208A 木製ユーロパレットの最大積載能力を 1,000 kg(ラック保管と動的荷役を含む)としています。三条件のうちラック時が最も低く、床段積み時が最も高いのが通例です。
パレットの静荷重と動荷重の違いは何ですか。
動荷重は、積載済みパレットがフォークリフトやハンドパレットトラックで動かされている間に適用されます。静荷重は、平坦で堅固な床の上に静止している間に適用されます。床は下面全体を支えるため、静荷重のほうが通常は大きな値になります。そしてどちらの数字も、両端だけで支持されるラック上で何を載せられるかは教えてくれません。
ユーロパレットにラックで 1,500 kg を載せてよいですか。
一般的な 1,500 kg という数字を根拠にするのは危険です。ラック定格は別個の試験結果で、ビームスパンと、長さ方向(RAL)か幅方向(RAW)かに結び付いており、構造的に破壊する前にスパンのおよそ 1.9%〜2% というたわみ限界で頭打ちになります。ラック条件での数値を、パレット供給者から書面で受け取ってください。
空のユーロパレットの重さはどれくらいですか。
約 25 kg です。EPAL は EPAL ユーロパレットを約 25 kg、CHEP は B1208A を 25〜26 kg と公表しています。この質量は出荷の総重量の一部であり、課金重量の一部でもあるため、黙って飲み込むのではなくパッキングリストに記載すべきものです。
仕様書にはどのパレット荷重の数字を書くべきですか。
根拠を示せるものはすべて、それぞれに支持条件を添えて書いてください。そして表だけでなくパレット図に載せてください。バイヤーの倉庫へ転送されるのはその図だからです。実測寸法を実際の写真の端に固定し、仕様書サイズで書き出せるソフトウェアを使えば、この作業は CAD 依頼ではなく SKU あたり五分の仕事になり、図に記した数字と試験した数字が食い違わなくなります。
