タイルのPEI等級と吸水率は、多くの輸出向けタイル取引で静かに利益が消えていくポイントです。あるバイヤーは「PEI 4」を見て、このタイルは防水だと思い込みます。別のバイヤーは「吸水率 0.5%」を読んで、人通りの多いホテルのロビー向けに指定します。どちらも当てずっぽうにすぎません。タイルの摩耗等級と吸水率グループは、まったく別の二つの問いに答えるものであり、しかもそのどちらも、濡れたときに表面が滑るかどうかは示さないからです。
仕様書でこの三つの数字を取り違えると、結果は目に見えています。間違ったタイルが通関し、現場では受け入れ拒否され、運賃はこちら持ちになり、リピート発注は、バイヤーが本当に信頼できるデータを持つ別のサプライヤーへ流れます。本記事では三つの仕様を切り分け、それぞれが何を基準に試験されるのかを示し、最後にどのタイル仕様カードにも載せるべき数字の短いリストで締めくくります。
タイルの耐久性を表す三つの仕様の定義
混乱が始まる前に、まず各仕様を一文で整理します。
- PEI 摩耗等級 —— 釉薬表面が目に見えて摩耗するまでにどれだけの歩行量に耐えられるか。ISO 10545-7 のもとで 0 から 5 まで格付けされます。
- 吸水率グループ —— 焼成された素地がどれだけ水を吸うか(緻密さと耐凍害性の目安)。ISO 10545-3 で測定し、ISO 13006 / EN 14411(BIa 〜 BIII)または ANSI A137.1(impervious 〜 non-vitreous)で分類します。
- 防滑性 —— 濡れた表面にどれだけグリップがあるか。湿潤時の DCOF 値(ANSI A326.3)または R 等級(DIN 51130)で表します。この二つは別々の試験であり、互いに換算できません。
これらを混同するバイヤーには、この一文をそのまま引用する価値があります。PEI は釉薬を、吸水率グループは素地を、防滑性は濡れた表面を評価する——三つの異なる試験室試験が三つの異なるものを測っているので、一つの数値が高くても、残る二つについては何もわかりません。
PEI 摩耗等級:釉薬が歩行量にどれだけ耐えるか
PEI 等級(かつての米国 Porcelain Enamel Institute にちなむ名称)は、施釉タイルが歩行による表面摩耗に耐える能力を格付けします。ISO 10545-7 では、荷重をかけた研磨材を釉薬の上で回転させ、目に見える光沢の低下が現れる点まで表面を確認します。結果は 0 から 5 までの等級です。
PEI 等級の解説(0 から 5)
- PEI 0 —— 床には不適。壁タイル専用です。
- PEI 1 —— ごく軽い住宅内歩行。例えば柔らかい履物の寝室や浴室。
- PEI 2 —— 軽い住宅内歩行。キッチンや主要廊下を除く部屋。
- PEI 3 —— キッチン、廊下、軽利用の来客スペースを含む、すべての住宅内の部屋。
- PEI 4 —— 軽〜中程度の商業用途:エントランス、オフィス、小売、宿泊・飲食の床。
- PEI 5 —— 重度の商業用途と人通りの多い公共床。
多くのサプライヤーがすでに守っている実務的な現場ルールがあります。商業用の床には PEI 4 未満のものを売らないことです。この等級尺度と用途区分は、ISO 10545-7 の製品データにそのまま基づいています。
落とし穴:PEI は施釉タイルしか評価しない
PEI は施釉表面の試験です。無釉の全身磁器には摩耗すべき釉薬がないため、PEI 尺度ではまったく格付けされません。代わりに ISO 10545-6 のもとで深部摩耗を測定し、結果は 0〜5 の等級ではなく、失われた材料体積を立方ミリメートル(mm³)で報告します。バイヤーがあなたの無釉テクニカル磁器の「PEI 等級」を尋ねてきた場合、誠実な答えは PEI の数字ではなく、深部摩耗の mm³ 値です。無釉タイルに PEI 等級を示すのはデータの誤りであり、鋭いバイヤーはすぐ気づきます。
吸水率グループ:タイル素地がどれだけ緻密か
吸水率は、焼成後のタイル素地が取り込む水分の割合で、ISO 10545-3 のもとで煮沸法または真空浸漬法で測定します。これは緻密さの目安です。素地の吸水が少ないほど、一般に緻密で耐凍害性が高くなります。これこそが磁器質と陶器質を実際に分ける仕様であり、表面の摩耗については何も語りません。
磁器質と陶器質の吸水率:0.5% の境界線
国際的な区分(ISO 13006 / EN 14411)は、乾式プレスタイルを吸水率(E)で分類します。
- BIa グループ —— E ≤ 0.5%(磁器質 / 完全ガラス化)
- BIb グループ —— 0.5% < E ≤ 3%
- BIIa グループ —— 3% < E ≤ 6%
- BIIb グループ —— 6% < E ≤ 10%
- BIII グループ —— E > 10%(通常は施釉壁タイル)
つまり磁器質と陶器質の吸水率の違いは、一つの境界に集約されます。素地の吸水率が 0.5% 以下のときにだけ、タイルは磁器質(完全ガラス化)となります。それを超えるものはすべて、気孔率が高まっていく陶器質の素地です。
同じタイル、二つのラベル:ISO グループ vs ANSI 名称
北米の仕様書では、ISO のグループ記号ではなく ANSI A137.1 の名称がよく使われ、ASTM C373 で測定されます。
- Impervious(不浸透) —— 0.5% 以下(BIa に相当)
- Vitreous(ガラス質) —— 0.5% 超〜3% まで
- Semi-vitreous(半ガラス質) —— 3% 超〜7% まで
- Non-vitreous(非ガラス質) —— 7% 超
中間の区分が完全には一致しない点に注意してください。ISO は 3–6% と 6–10% に分けますが、ANSI は 3–7% という一つの「semi-vitreous」区分を使います。ある市場のバイヤーが別の市場向けに書かれた仕様書を読むと、「BIb」と「vitreous」は近いものの同一ではありません。実際のパーセンテージをカードに載せれば、この食い違いは消えます。
DCOF 防滑値 vs R 等級:換算できない二つのすべり試験
防滑性は三つ目の仕様であり、輸出向けタイルのカードから丸ごと抜け落ちることが最も多い項目です。主流の方法は二つあり、互換性はありません。
DCOF(ANSI A326.3):0.42 という湿潤時の数値
DCOF(動摩擦係数)は、ANSI A326.3 のもとで標準化されたトライボメーターを使い、湿潤状態で測定します。ANSI A137.1 に引き継がれた基準値は、濡れた状態で歩行する水平な屋内空間向けの硬質床材について、湿潤時 DCOF が 0.42 以上です。データについて重要な注意が二つあります。0.42 は比較のためのベンチマークであってすべりを防ぐ保証ではないこと、そして 0.42 以上のタイルでも、あらゆる場所に自動的に適するわけではないこと(スロープ、湿式作業区域、屋外はより高い値が必要です)。
R9 から R13(DIN 51130):傾斜角度
ドイツの傾斜試験 DIN 51130 は別の方法です。油を付けたブーツを履いた試験者が、足を滑らせるまで傾けていくタイルパネルの上を歩き、その許容角度が R 等級を決めます(履物・油潤滑の試験です)。
- R9 —— 6° 〜 10°
- R10 —— 10° 〜 19°
- R11 —— 19° 〜 27°
- R12 —— 27° 〜 35°
- R13 —— 35° 超
R 等級と DCOF 値は換算できません。汚染物質も、動作も、合否基準も異なります。バイヤーの案件が DCOF ≥ 0.42 を求めているなら、仕様書の「R10」は彼らの問いに答えておらず、逆もまた同じです。あなたのタイルがどちらの基準で試験されたかを記し、方法名を明記してください。
タイルのPEI等級と吸水率、防滑性:仕様を並べて比較
| PEI 摩耗等級 | 吸水率グループ | 防滑性 | |
|---|---|---|---|
| 答える問い | 施釉表面が光沢を失うまでにどれだけの歩行量に耐えるか? | 焼成素地はどれだけ緻密/耐凍害性があるか? | 濡れたときに表面はどれだけグリップするか? |
| 標準 / 試験 | ISO 10545-7(施釉表面の摩耗) | ISO 10545-3 → ISO 13006 / ANSI A137.1 グループ | ANSI A326.3(DCOF)または DIN 51130(R 等級) |
| 尺度 | PEI 0–5 | BIa ≤0.5% … BIII >10%(または impervious → non-vitreous) | 湿潤時 DCOF ≥0.42;R9–R13 |
| 「人通りの多い濡れた床向き」の目安 | PEI 4–5 | 凍害や湿気が関わる場合は BIa/BIb(≤3%) | 湿潤時 DCOF ≥0.42;通常 R10–R11+ |
| わからないこと | 水やすべりについては何も | 表面摩耗やすべりについては何も | 摩耗や緻密さについては何も |
どの行を横に読んでも要点は同じです。三つの列、三つの無関係な問い。だからこそ公称寸法と実寸法も、これらの等級仕様も、どちらも明示する必要があります。バイヤーは一つの数値から別の数値を推し量ることができないのです。
輸出タイルのバイヤーが間違えるところ
誰かがこの選択を、あたかも一つの判断であるかのように「タイルのPEI等級と吸水率」と言い表すとき、その下にはたいてい四つの混同が隠れています。
- 「PEI が高ければ吸水率は低い。」 違います。PEI 5 の釉薬が、吸水率 8% の素地に載っていることもあり得ます。摩耗と吸水はタイルの別々の部分で測られます。
- 「磁器質は自動的に防滑だ。」 違います。磁器質は緻密さの主張(吸水率 ≤0.5%)です。緻密な研磨仕上げの磁器でも、湿潤時 DCOF が低いことがあります。すべりはそれ自体が別の試験です。
- 「PEI で私の無釉磁器はカバーできる。」 違います。無釉素地は PEI 0–5 の尺度ではなく、ISO 10545-6 の深部摩耗(mm³)を使います。
- 「DCOF と R 等級は同じグリップの数字だ。」 違います。両者は別々のしきい値を持つ別々の方法であり、換算できません。
これらの読み違いはどれも同じ結末を迎えます。ある用途には技術的に問題のないタイルが別の用途に出荷され、紛争があなたの机に届くのです。サイズと仕様のミスマッチが一つの発注全体でいくらの損失になるかを見たいなら、返品・紛争コストの計算は身につまされます。拒否された床タイル一コンテナは、端数ではありません。
タイル仕様カードに載せるべきこと
この混乱の大半は、仕様が別のPDF(バイヤーが決して開かないもの)に埋もれるのではなく、測定・ラベル付けされてタイル画像そのものの上に載っているときに解消します。問題はサプライヤーにデータがないことではなく、データと写真が別々に移動するために、バイヤーが写真を見て残りを推測してしまうことです。タイルの体裁を整え直した「AI 美化画像」はこれを悪化させこそすれ、良くはしません。生成画像は、実際の SKU にはないシャープな面取りや色を作り出すことがあり、しかも一つの等級も検証できません。バイヤーが必要とするのはその逆です。実測した公称サイズと厚みを実際の製品写真に固定し、その横に正しい等級ラベルを添え、仕様図サイズで書き出すことで、画像がバイヤーの取引先へ転送されても何も失われないようにするのです。
バイヤーが実際に確認する四つの数字——公称サイズ、厚み、PEI 等級、湿潤時 DCOF——をタイル写真に直接載せ、仕様が画像とともに移動するようにしてください。技術審査に耐える仕様カードの完全なチェックリストは次のとおりです。
- 公称サイズと実サイズ(mm)、および厚み(mm)
- 吸水率:ISO 13006 グループ(例:BIa ≤0.5%)または ANSI クラス、実際のパーセンテージ付き
- PEI 摩耗クラス(0–5、ISO 10545-7)——「施釉」か「無釉 / 深部摩耗 mm³」かを明記
- すべり:湿潤時 DCOF 値(ANSI A326.3、≥0.42 なら明示)および/または R 等級(DIN 51130)
- 面取り(rectified/non-rectified)の有無、およびエッジ/仕上げの種類
- 耐凍害性と用途(屋内/屋外、壁/床)
- 各数値がどの標準で試験されたか。バイヤーが検証できるように
このように材料仕様をラベル付けするサプライヤーほど早く成約します。バイヤーが問い合わせる必要がなくなるからです——どんな仕様図でも建材の寸法を表示する際に、明快な図が一段落の文章に勝るのと同じ理由です。
よくある質問
タイルのPEI等級と吸水率は同じものですか?
いいえ、タイルの別々の部分を測っています。PEI(ISO 10545-7)は釉薬表面がどれだけの歩行量に耐えるかを 0–5 の尺度で評価し、吸水率(ISO 10545-3、ISO 13006 で分類)は焼成素地がどれだけ水を吸うかを BIa(≤0.5%)から BIII(>10%)まで測ります。PEI が高いことは吸水率が低いことを意味せず、逆もまた同じです。
吸水率がいくつなら磁器質タイルになりますか?
素地の吸水率が 0.5% 以下のとき、タイルは磁器質(完全ガラス化)となり、これは ISO 13006 の BIa グループ、または ANSI A137.1 の「impervious」クラスに当たります。0.5% を超えるものはすべて陶器質の素地で、吸水率が上がるにつれて vitreous、semi-vitreous、non-vitreous となります。
濡れた屋内タイル床にはどれくらいの DCOF が必要ですか?
濡れた状態で歩行する水平な屋内床には、ANSI A137.1 が ANSI A326.3 で測定した湿潤時 DCOF 0.42 を最低値として参照しています。0.42 はすべりの保証ではなく比較のしきい値として扱ってください。より濡れた場所や傾斜のある場所には、より高い値と適切なテクスチャーが必要です。
DIN 51130 の R 等級は DCOF の数値と同じですか?
いいえ。R9–R13 は DIN 51130 の油潤滑傾斜試験に由来し(R9 = 6–10° から R13 = >35° まで)、DCOF は ANSI A326.3 の湿潤トライボメーター試験に由来します。両者は汚染物質も合否基準も異なり換算できないので、あなたのタイルが実際に試験された標準を明記してください。
タイル仕様書を素早く読むには?
一つではなく、無関係な三つの数字を確認します。PEI クラス(表面摩耗)、吸水率グループまたはパーセンテージ(素地の緻密さ/凍害)、すべり値(湿潤時 DCOF または R 等級)です。それぞれが試験に用いた標準を明記しているか確かめ、無釉タイルでは PEI クラスではなく深部摩耗の mm³ 値が示されると考えてください。
Sources & References
- PEI 摩耗クラス(ISO 10545-7)、クラス 0–5 と用途
- タイルの技術的特性:PEI(EN ISO 10545-7)、吸水率(EN ISO 10545-3)、DIN 51130 / DIN 51097
- ISO 13006:2018 —— セラミックタイルの分類と吸水率グループ(BIa–BIII)
- 磁器質ストーンウェアと他のストーンウェア:≤0.5%(BIa)の吸水率しきい値
- ANSI A137.1 吸水率クラス(impervious / vitreous / semi-vitreous / non-vitreous)、ASTM C373
- Tile Council of North America —— DCOF FAQ(湿潤時 DCOF ≥ 0.42、ANSI A326.3 / A137.1)
- DIN 51130 R 等級の傾斜角度区分(R9 6–10° から R13 >35°)
