航空貨物の最大サイズ:163 cm という天井

航空貨物の最大サイズを決めるのは機体ではなく ULD です。下部貨物室で 163 cm、フレイターのメインデッキで 244 cm。実際の ULD 数値と、それが招くコストを整理します。

航空貨物の最大サイズ:163 cm という天井

航空貨物の最大サイズを決めているのは機体ではありません。貨物が載るアルミ製のパレットまたはコンテナ、つまり ULD が決めています。そして旅客ワイドボディ機の多くでは、その天井は 163 cm です。頭のなかにある「高さ 3 m の貨物室」ではありません。170 cm のカートンは押し込んでもらえません。ビルドアップの現場で降ろされ、2〜3 日後のフレイターに載せ替えられ、見積もっていないレートで請求し直されます。

航空貨物の最大サイズは、輸出見積書がまず書かない数字であり、2 日で着くはずのサンプル出荷を 2 週間の謝罪に変える数字でもあります。ここでは実際の上限がどこにあるのか、なぜ 244 cm 対応のパレットでも 244 cm の木箱が弾かれるのか、そしてフォワーダーに送る図面に何が載っていなければならないのかを整理します。

航空貨物の最大サイズを決めるのは ULD であって機体ではありません

ULD(unit load device)は、貨物をひとつの単位としてまとめて機内に搭載する、認証を受けたアルミ製のパレットまたはコンテナです。IATA はこれを梱包資材ではないと明言しています。ULD は「設計・試験・製造・運用から修理・整備に至るまで、民間航空当局の厳格な要件が課される、取り外し可能な航空機部品」であり、世界でおよそ 100 万個が運用されています。

この一文が、ビルドアップ現場で起きるすべての積み残しを説明します。貨物は航空機に収まる必要はありません。航空機に収まる 163 cm の箱に収まる必要があります。

ここから導かれる結論は 2 つ、いずれも請求に直結します。

  • 「ほぼ入る」は存在しません。 ULD は公表されたコンターを持つ耐空性認証部品です。トラックドライバーが木箱を斜めに押し込むように、地上ハンドリングが 4 cm を見逃すことはできません。
  • 上限は路線ではなく機材に付いて回ります。 同じレーンでも、今日は旅客ワイドボディ機、明日はフレイターとなれば、サイズの上限はまったく別の数字になります。

下部貨物室かメインデッキか、137 cm 離れた 2 つの天井

アジアや欧州から旅客便で出る航空貨物のほとんどは、機体下部の貨物室、いわゆるロワーデッキに搭載されます。下部貨物室は胴体の曲面で形が決まるため、そこ向けのコンテナは背が低く、下側の角が斜めに削られています。

デッキ 内容 実務上の高さ上限 1 基あたりの一般的な最大総重量
下部貨物室(旅客ワイドボディ機のベリー) 曲面コンターのコンテナと低コンターのパレット 約 163 cm(64 インチ) LD-3 で 1,588 kg、LD-9 で 6,033 kg
メインデッキ(フレイターまたは貨物改修機) フルハイトのパレットとボックス Q6 コンターで 244 cm、Q7 で 300 cm PMC で 6,804 kg、20 フィートのメインデッキパレットで最大 13,608 kg

出典:タイ航空カーゴが公表する ULD 仕様と、航空貨物のロードプランナーが用いる ULD コンター資料。

実務的な読み方はこうです。完成した木箱の高さが 160 cm を超えた時点で、誰に告げられていなくても、あなたは事実上フレイターを予約しています。 ベリーのスペースは旅客便が飛べば必ず出ますが、フレイターのスペースはそうではありません。高さの問題がほぼ必ずスケジュールの問題として先に表面化するのは、そのためです。

高さを縛るのはベースサイズではなくコンターコードです

多くのサプライヤーがつまずくのがここです。PMC パレットはベースが 96 × 125 インチ(2.44 × 3.18 m)、耐荷重は 6,804 kg。この数字を見て「高さ 2.44 m の箱を埋められる」と考えてしまいますが、そうではありません。

パレットは平らなアルミの台とネットであって、囲われた空間ではありません。高さは航空会社がそのパレットに適用するコンターコードから決まり、どのコンターも直方体ではなく傾斜のついた断面です。

コンター 最大ビルドアップ高さ 搭載場所
LD コンター 1.63 m(64 インチ) 旅客ワイドボディ機の下部貨物室
Q6 2.44 m(96 インチ) メインデッキ、標準的なフレイタービルド
Q7 3.00 m(118 インチ) メインデッキ、747F / 777F クラスのフルハイト

コンターは上方と外周に向かって内側に絞られます。フルの高さが取れるのはパレット中央部だけです。 高さ 2.40 m の木箱でも、Q6 ビルドの端に置けばコンターに干渉します。その角に届く前に断面がすでに絞られているからです。ロードプランナーが提示するのは、当該コンターでの有効容積であって、ベース面積 × 高さではありません。容積が同一の 2 件で回答が分かれるのは、これが理由です。

「パレットには載るがコンターに入らない」と言われた経験があるなら、それがこれです。

ULD 一覧:ベースサイズ・高さ・重量上限

以下はタイ航空カーゴが自社機材向けに公表している数値です。普遍的な値ではなく代表値として扱ってください。ベース寸法と自重は航空会社ごと、ULD メーカーごとに異なり、最大総重量はさらに、その区間の機体フロアローディング制限で引き下げられることもよくあります。合板を切る前に、必ず該当する ULD を航空会社に確認してください。

ULD ベース寸法 高さ 最大総重量 デッキ
LD-3 / AKE コンテナ 長さ 78.3 / 61.5 インチ × 幅 60.4 インチ 63.4-64 インチ(約 1.62 m) 1,588 kg(3,500 ポンド) 下部
LD-6 コンテナ 長さ 160 / 125 インチ × 幅 60.4 インチ 64 インチ 3,175 kg(7,000 ポンド) 下部
LD-9 / AAP コンテナ 長さ 125 インチ × 幅 88 インチ 63.6-64 インチ 6,033 kg(13,300 ポンド) 下部
LD-26 コンテナ 長さ 160 / 125 インチ × 幅 88 インチ 64 インチ 6,033 kg(13,300 ポンド) 下部
LD-36 コンテナ 長さ 160 / 125 インチ × 幅 96 インチ 64 インチ 6,804 kg(15,000 ポンド) 下部
PLA パレット(ネット付き) 60.4 × 125 インチ コンターによる 3,175 kg(7,000 ポンド) 下部
PAG / PAP / P1P パレット 88 × 125 インチ コンターによる 6,033 kg(13,300 ポンド) 下部またはメイン
PMC パレット(ネット付き) 96 × 125 インチ コンターによる 6,804 kg(15,000 ポンド) 下部またはメイン
20 フィート メインデッキパレット(PAG extra) 96 × 238.5 インチ コンターによる 13,608 kg(30,000 ポンド) メインデッキ専用

数字が 2 つ並んでいる欄——「160 / 125 インチ」——に注意してください。これは同じコンテナの上端長と床面長です。胴体の曲面に合わせて下側の角が削られているためです。LD-6 は上端で 160 インチありますが、床面では 125 インチしかありません。長い木箱が開口部は通っても、床に降ろせないことが起こります。この 2 つの数字は毎回セットで読んでください。

運賃計算重量というもうひとつのサイズ制限は、より早く効いてきます

貨物が収まったとしても、寸法は請求額を決めます。航空運賃は**運賃計算重量(チャージャブルウェイト)**で課金されます。実重量と容積重量の大きいほうを採用し、IATA の推奨換算値は 1 kg あたり 6,000 cm³、つまり 1 m³ を 167 kg として扱います。DHL、FedEx、UPS などのインテグレーターは 5,000 を用いることが一般的で、同じ箱が書類上およそ 20% 重くなります。

実在するノックダウン家具のカートン、120 × 60 × 40 cm で計算してみます。

項目 数値
容積 288,000 cm³(0.288 m³)
実重量(グロス) 26 kg
6,000 換算の容積重量(IATA 航空貨物) 48 kg
5,000 換算の容積重量(クーリエ) 57.6 kg
運賃計算重量(航空貨物) 48 kg

支払ったのは 48 kg 分、運んだのは 26 kg です。この差が、同じ 1 立方メートルでも航空・海上・陸上で価格が変わる理由であり、輸出書類上の容積重量や、米国内陸トラック輸送の密度によるフレイトクラスと同じ算術でもあります。

身も蓋もない言い方をすれば、家具・照明・建材の多くで、航空運賃は貨物にではなく空気に払っています。 カートンの高さを 4 cm 削るほうが、製品を 4 kg 軽くするより効くことがしばしばあります。

163 cm の天井が実際に効いてくる場面

家具のサンプル。 張りぐるみの椅子を立てたまま木箱に入れると、まず 163 cm の下部貨物室の上限を超えます。脚を外して背もたれを寝かせれば、たいてい超えません。この梱包の判断ひとつが、毎日ある旅客便に乗るか、フレイターを待つかの分かれ目になります。

機械・産業機器。 もともと下部貨物室の高さを超える前提の貨物なので、本当の論点は、組み上がった状態が 244 cm の Q6 に収まるのか、300 cm の Q7 が必要なのかです。この答えひとつで、そもそもどの空港・どの機材が引き受けられるかが変わります。

パネルや長尺材。 制約になるのは高さではなく長さです。3.1 m のパネルを 125 インチ(3.18 m)のパレットベースに載せると、ネットの張力と端部の絞りに回す余地がほぼ残りません。数字の上では収まって見えても同じです。これは木箱を作る前にキャリアへ確認してください。

いずれの場合も、判断はブッキングの数週間前、誰かが木箱の仕様を決めた瞬間に下されています。そして、その瞬間こそ誰も ULD の制限値を手元に持っていないタイミングです。

フォワーダーに送る図面に載っていなければならないもの

フォワーダーは写真 1 枚と一文の説明では見積もれません。解決策はメールを長くすることではなく、寸法を書き込んだ仕様図です。梱包後の実測外寸——提示される状態の木箱の長さ・幅・高さ、そして総重量と積み付け方向——を画像上に直接記載します。セルに打ち込んだ概算値ではなく、それらしい数値を勝手に作る AI 生成の画像でもなく、木箱の実際のエッジに固定された寸法を、フォワーダーがスマートフォンで読める大きさで書き出したものです。

理由は地味で、かつ高くつきます。フォワーダーのビルド判断も、コンターの選定も、レートも、すべてこの 3 つの数字から決まります。一度画像に載せてしまえば、同じファイルがバイヤーにも航空会社にも通関業者にも答えを返します。海上輸送側でも作法は同じで、そちらではコンターではなく標準パレットサイズがコンテナへの収まりを決めます。

ブッキング前の寸法チェックリスト

  • 製品ではなく梱包後の状態を実測する(木箱・パレット・ストレッチフィルムまで含める)
  • ベリー搭載を前提にする前に、高さを 163 cm と突き合わせる
  • 163 cm を超えるなら、Q6(244 cm)と Q7(300 cm)のどちらでビルドするか航空会社に確認する
  • 最長辺を 125 インチ(3.18 m)のパレットベースと照合し、ネットの張力分を見込む
  • 6,000 cm³/kg で運賃計算重量を算出し、クーリエも選択肢なら 5,000 でも再計算する
  • 1 基あたりの最大総重量は汎用表ではなくキャリアに確認する
  • 長さ × 幅 × 高さと総重量を、cm と kg で仕様図に記載する
  • 最初の木箱が実際にできあがったら測り直す(設計意図と大工仕事は一致しません)

よくある質問

航空貨物の最大サイズはどれくらいですか

搭載するデッキによります。旅客ワイドボディ機ではおよそ高さ 163 cm で、これは LD-3 や LD-9 といった下部貨物室用 ULD の上限だからです。フレイターのメインデッキでは Q6 コンターで 244 cm、Q7 で 300 cm まで上がります。底面はパレットで頭打ちになり、PMC で 96 × 125 インチ(2.44 × 3.18 m)、20 フィートのメインデッキパレットで最大 96 × 238.5 インチです。

航空貨物のパレットは何 cm まで積めますか

パレット自体は平らで、ビルドアップ高さはコンターコードから決まります。LD コンターで 1.63 m、Q6 で 2.44 m、Q7 で 3.00 m です。ただしどのコンターも外周に向かって絞られるため、最大高さが取れるのはパレット中央部だけです。

LD3 と PMC の違いは何ですか

LD-3(AKE)は下側の角を斜めに削った密閉型コンテナで、高さ約 1.62 m、耐荷重 1,588 kg、下部貨物室向けです。PMC は 96 × 125 インチの平パレットにネットを掛けるもので、耐荷重 6,804 kg、高さは適用されるコンター次第です。片方は箱、もう片方は床だと考えてください。

航空貨物の運賃計算重量はどう計算しますか

長さ × 幅 × 高さを cm で掛け合わせ、6,000 で割って kg 単位の容積重量を出し、実重量と比較して大きいほうで支払います。クーリエは通常 5,000 で割るため、容積重量が 20% 高く出ます。

フォワーダーが送ったはずの寸法を何度も聞いてくるのはなぜですか

多くの場合、数字がメール本文のテキストとして届き、それが指している物体と結び付けられないからです。120 cm が製品なのか木箱なのか、誰にも判断できません。梱包後の現物写真に実測寸法を直接書き込めば、この曖昧さは一度で消えます。測定を対象物の実際のエッジにスナップさせ、読めるサイズで書き出せる仕様図ソフトが、表計算をもう一度送るより早くこのループを終わらせるのはそのためです。

航空貨物に 1 個あたりの重量上限はありますか

あります。ただし出荷単位ではなく ULD 単位です。LD-3 は 1,588 kg、LD-9 と PAG は 6,033 kg、PMC は 6,804 kg、20 フィートのメインデッキパレットは 13,608 kg が上限です。特定区間の機体フロアローディング制限により、これらがさらに下がることもあります。

参考資料

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