歯車のモジュールとダイヤメトラルピッチ:25.4 はかみ合いの保証ではありません

歯車のモジュールとダイヤメトラルピッチ。25.4 の換算は 2 枚の見積を並べるだけで、かみ合いは保証しません。調達の 4 シナリオと、買い手が照合できる仕様ブロックをまとめます。

歯車のモジュールとダイヤメトラルピッチ:25.4 はかみ合いの保証ではありません

歯車のモジュールとダイヤメトラルピッチは、産業品調達でいちばん安く済むはずのミスです。同じ歯の大きさを 2 つの数字で言い換えているだけなので、買い手はスマートフォンの電卓で一方をもう一方に換算します。届いた歯車は軸にすっと入り、単体では軽く回り、それでも相手歯車と組むと発熱して音を立てます。25.4 は換算係数であって、かみ合いの保証書ではありません。

歯車、ギヤードモータ、ラックアンドピニオン、ウインチ、旋回駆動装置、あるいは内部にかみ合う歯を持つあらゆるアセンブリを輸出しているなら、この 1 行の仕様がリピート発注を静かに消します。以下では、2 つの体系がそれぞれ何を測っているのか、読んでもよいが発注書に貼り付けてはいけない換算表、そして正解が 1 つずつ異なる 4 つの調達シナリオを扱います。

歯車のモジュールとダイヤメトラルピッチ:同じ歯を測る 2 つの体系

**モジュール(m)は歯の大きさをミリメートルで表したもので、歯車の基準円直径を歯数で割った値です。ダイヤメトラルピッチ(DP)は同じ歯の大きさを、基準円直径 1 インチあたりの歯数で表したものです。**一方は長さ、もう一方は密度であり、問題はすべてここから生まれます。

項目 メートル系(モジュール) インチ系(ダイヤメトラルピッチ)
定義 m = d / z(mm) DP = z / d(1 インチあたりの歯数)
基準円直径 d = m x z d = z / DP
歯先円直径、標準の外歯平歯車 da = m x (z + 2) da = (z + 2) / DP
円ピッチ p = pi x m p = pi / DP
向き 数値が大きいほど歯は大きい 数値が大きいほど歯は小さい
換算 m = 25.4 / DP DP = 25.4 / m

この最後の行が、誤発注の大半の出発点です。モジュールと DP は向きが逆に走ります。「モジュール 2 より粗い歯がほしい」と言われた買い手が DP のカタログを開くと、反射的に大きい数字を探しますが、DP が大きいほど歯は細かくなります。

規格そのものは、とうに袂を分かっています。ISO 54 の表題は 一般機械用および重機械用の円筒歯車——モジュール で、その第 2 版は 1996-12-15 付、モジュールおよびダイヤメトラルピッチ と題されていた 1977 年の第 1 版を廃止し置き換えました。これは制度上の決定として読むべきです。メートル系の規格が、インチ系のはしごを自分の中に抱えるのをやめたということです。インチ系列の歯車はいま AGMA の文書の側にあり、2 つの生態系は仕様書を書く人が意図的に橋渡しするしかありません。その人とは、サプライヤーであるあなたです。

読んでもよいが発注書に貼り付けてはいけないモジュール換算表

ISO 54 はモジュールを、優先の第 1 系列と次点の第 2 系列に分けています。優先されるメートル系のはしごを正確に換算すると、こうなります。

優先モジュール(mm) 正確な相当 DP 最も近い標準 DP 置き換えたときの誤差
1 25.400 24 歯が 5.8% 粗くなる
1.25 20.320 20 歯が 1.6% 粗くなる
1.5 16.933 16 歯が 5.8% 粗くなる
2 12.700 12 歯が 5.8% 粗くなる
2.5 10.160 10 歯が 1.6% 粗くなる
3 8.467 8 歯が 5.8% 粗くなる
4 6.350 6 歯が 5.8% 粗くなる
5 5.080 5 歯が 1.6% 粗くなる
6 4.233 4 歯が 5.8% 粗くなる
8 3.175 3 歯が 5.8% 粗くなる

そして、インチ系のはしごを逆向きに換算すると、こうなります。

標準 DP 正確な相当モジュール(mm) 最も近い優先モジュール 置き換えたときの誤差
48 0.529 0.5 歯が 5.8% 細かくなる
32 0.794 0.8 歯が 0.8% 粗くなる
24 1.058 1 歯が 5.5% 細かくなる
20 1.270 1.25 歯が 1.6% 細かくなる
16 1.588 1.5 歯が 5.5% 細かくなる
12 2.117 2 歯が 5.5% 細かくなる
10 2.540 2.5 歯が 1.6% 細かくなる
8 3.175 3 歯が 5.5% 細かくなる
6 4.233 4 歯が 5.5% 細かくなる
4 6.350 6 歯が 5.5% 細かくなる

2 つの表を並べて見てください。**優先モジュールで標準ダイヤメトラルピッチに一致するものはなく、標準ダイヤメトラルピッチで優先モジュールに一致するものもありません。2 本のはしごは 1 段も共有していません。**どの換算も、片方のカタログにしか存在しない数字を生みます。だからこそ「モジュール 3 は 8.47 DP」は正しい記述であり、同時に役に立たない発注書なのです。

歯の大きさが 1.6% 違うだけの 2 つの歯車は、少し荒く回るという話では済みません。歯面のずれた位置で当たり、かみあい率の大半を失い、荷重が歯先に集中し、熱処理不良にしか見えない摩耗のしかたをします。返ってくるクレームに「ピッチ不一致」とは書かれません。

ピッチが合っても歯車が合うとは限りません

ピッチは、一致していなければならない 5 つのうちの 1 つ目にすぎません。完璧に換算しても、回らない歯車を出荷することはあり得ます。

パラメータ 違ったときに起きること どこに隠れているか
圧力角 歯面が誤った傾きで当たり、かみあい率が崩れる 20 度が標準基準ラックですが、インチ系には 14.5 度の旧来在庫と 25 度の重荷重用在庫が残っています
転位(歯形修正量、x) ピッチは正しいのに中心距離が違い、歯厚も違う カタログのページにはまず印刷されません
はすば歯車の歯直角モジュールと正面モジュール 同じ歯車に 2 つの異なる数字。mt = mn / cos(beta) どちらのモジュールか書かずに「モジュール 3 はすば」とある見積
ねじれ方向とねじれ角 かみ合わない、あるいはかみ合っても誰も軸受を選定していないスラストが出る 写真。ねじれ方向はうっかり反転しやすい
精度等級 買い手は格上げしたつもりで、実際は格下げ 下記参照。番号の向きが逆です

この最後の 1 つには、単独の警告が要ります。精度等級の番号は、旧来のインチ系と ISO 系で向きが逆です。旧規格 AGMA 2000-A88 は品質クラス Q3 から Q15 を定義し、数字が大きいほど高精度でした。ISO 1328-1 が定める精度等級は数字が小さいほど高精度で、ANSI/AGMA ISO 1328-1-B14 は ISO の向きを採用しました。したがって「Q10 から等級 8 へ格上げ」と書かれた発注書は、格上げにも格下げにも、意味不明にもなり得ます。どちらの文書を読んでいるか次第です。等級の数字の横には、必ず規格番号を書いてください。

これは公開されているピッチ換算表にある罠と同じ種類のものです。計算は正しく、そこから引き出される結論が誤っています。メートル系とインチ系のねじで痛い目を見たことがあれば、この型には見覚えがあるはずです。体系が 2 つ、手で入るものが 1 つ、漏れが 1 つ。

シナリオ A:サンプルの歯車はあるが図面がない

買い手が写真を送ってくるか、摩耗したピニオンを封筒で送ってきて「これは作れますか」と聞いてきます。

**やること:**歯数(z)を数え、ノギスで歯先円直径(da)を 3 か所測って最大値を採り、両方の式を計算します。

  • メートル系の推定:m = da / (z + 2)
  • インチ系の推定:DP = (z + 2) / da(da はインチ)

2 つの答えのうち片方が、カタログ値の近くに着地します。それがこの歯車の出身を教えてくれます。62 枚歯で歯先が 128.0 mm の歯車なら m = 128 / 64 = 2.0。優先モジュールなのでメートル系です。同じ歯車が 5.334 in なら DP = 64 / 5.334 = 12.0。標準 DP なのでインチ系です。両方が同時に当たることは、まずありません。

**この方法が崩れる場面:**転位歯車です。正の転位では歯先円直径が m(z + 2) より大きくなるため、算出したモジュールは大きめの非標準値になります。数字がカタログ値の中間に中途半端に落ちたら、珍しいピッチではなく転位を疑い、見積の前にオーバーピン(またはオーバーボール)測定を行ってください。

シナリオ B:買い手の図面は DP、自社工場はモジュールで見積もる

**やること:**換算してそのまま進めないでください。実際に加工できるメートル系の歯車を見積もり、そのモジュール、圧力角、規格番号付きの精度等級を明記し、そのうえで見積書の中に、買い手の既存のインチ系歯車とはかみ合わないとはっきり書きます。ペアで提案してください。

サプライヤーは、気を遣ってこの案件を落とします。モジュール 3 の歯車で「はい、8 DP に合わせられます」と答える見積は、技術的には不作為による虚偽であり、買い手はそれを組立のときに、自分の工場で、あなたの社名が入った箱とともに知ることになります。「当社はモジュール 3 を加工します。最も近いインチ当量は 8.467 DP ですが、これはインチ系の標準ピッチではありません。8 DP のペアを置き換えるには、両方の歯車を供給する必要があります」と書いた見積は、価格で負けても信頼で勝ちます。

シナリオ C:稼働中の機械に入っている歯車の交換品を見積もる

**やること:**壊れた部品ではなく、相手歯車を仕様として扱います。両方の歯車の歯数、中心距離、そしてスケールを画面に入れたアセンブリの写真を依頼してください。中心距離は、転位を暴く数字です。標準のペアなら a = m(z1 + z2) / 2 になります。実測の中心距離がこれとバックラッシの許容を超えて食い違うなら、元のペアは転位しており、「正しい」交換品は食い付くかガタつきます。

**この方法が崩れる場面:**摩耗した歯車は小さく測れます。歯面が 0.3 mm 減った歯車でも歯先円直径は元のままです。だからこそ、サンプルで歯厚を当たろうとせず、歯先を測って歯数を数えるのです。

シナリオ D:2 つの市場に 1 冊のカタログを作る

**やること:**モジュールを主仕様として掲載し、DP は括弧書きにし、その括弧の中は決して丸めないでください。「モジュール 3(8.467 DP、インチ系列では非標準)」という一文が、RFQ の一分類をまるごと防ぎます。

そのうえで、幾何形状を表だけでなく図の中に置いてください。歯先円直径、内径、キー溝、ボス径、ボス突出し量、歯幅を画像に直接記入した歯車の線図は、仕様表ならメール 2 往復かかる質問に 2 秒で答えます。継手や鋳物に対する工業仕様図と同じ原理であり、軸受の呼び番号が歯車の呼称より問い合わせが少ない理由でもあります。軸受番号は 3 つの寸法を符号化しており、買い手はその読み方を覚えているからです。

判断マトリクス

あなたの状況 取るべき手 やってはいけないこと
サンプルの歯車があり図面がない z を数え、da を測り、両方の式を試し、カタログ系列と照合する 原産国から体系を推測する
買い手の図面は DP、工場はモジュール メートル系で見積もり、非等価であることを開示し、かみ合うペアで提案する 換算して「相当品」と言う
アセンブリ内の交換品 相手歯車と中心距離から仕様を決める 壊れた部品をそのまま写す
2 市場向けカタログ モジュールを主に、丸めない DP を括弧に、幾何形状は画像に 8.467 を 8.5 に丸める
等級の格上げ要求 等級と規格番号をセットで書く 数字が大きいほど良いと決めつける

買い手が実際に照合できる歯車仕様ブロック

以上のすべては、公開できる 1 つのブロックに収束します。カタログページと見積書の両方にこれらの項目があれば、「歯車 モジュール ダイヤメトラルピッチ」という質問は届かなくなります。

項目 記入例 買い手に必要な理由
モジュール(歯直角) mn = 3 mm 歯の大きさの主仕様
ダイヤメトラルピッチ相当 8.467 DP(インチ系の標準ピッチではない) 換算による当て推量を止める
歯数 z = 24 モジュールと合わせて、すべての直径が決まる
圧力角 20 度 かみ合いの互換性
ねじれ角と方向 0(平歯車)/ 15 度 右ねじれ スラストとかみ合い
転位係数 x = 0 中心距離
歯先円直径 da = 78.0 mm 到着時にノギスで検証できる数字
歯幅 b = 30 mm 負荷容量、梱包
内径とキー溝 25H7, 8 x 3.3 JS9 取り付け
精度等級 ISO 1328-1 等級 8 必ず規格番号とセットで
材料と熱処理 20CrMnTi, 浸炭 58-62 HRC 寿命の見込み

**実務のヒント:**上の項目は、図の下ではなく図の上で買い手に見えて初めて質問を止めます。実測した寸法を写真に固定できるツール、つまり寸法線を歯車の実際のエッジにスナップさせ、数値をソフトウェア側が保持し、各マーケットプレイスの仕様図サイズで書き出せるものは、汎用の画像編集ソフトで矢印を手描きするやり方にも、測ってもいない「78 mm」を自信たっぷりに描いてしまう AI 画像生成にも勝ります。歯車にとって、でっち上げた寸法は見た目の問題ではありません。返送されるコンテナです。

見積前チェックリスト

  • 歯数は古い図面を読むのではなく、数えて確認した
  • 歯先円直径を 3 か所で測定し、最大値を採用した
  • 両方の式を計算した:m = da / (z + 2) と DP = (z + 2) / da(インチ)
  • 結果を優先モジュール系列と標準 DP 系列に照合した
  • 中心距離またはオーバーピン測定で、転位の有無を確定した
  • 圧力角を 20 度と決めつけず、明示した
  • すべてのはすば歯車について、歯直角か正面かを明記した
  • ねじれ方向を写真からの推測ではなく、文章で明記した
  • 精度等級を規格番号とともに書いた
  • 体系をまたいで換算する場合、非等価であることを書面で開示した
  • カタログ画像に歯先円直径、歯幅、内径、キー溝、ボスを記載した

よくある質問

歯車のモジュールをダイヤメトラルピッチに換算するには?

25.4 をモジュールで割ります。DP = 25.4 / m です。モジュール 2 は 12.7 DP、モジュール 3 は 8.467 DP。計算は厳密ですが、得られる値は比較の目安にすぎません。換算値がもう一方の体系で在庫されているピッチであることはほぼなく、換算した歯車とカタログの歯車はかみ合いません。

モジュールとダイヤメトラルピッチの違いは何ですか?

モジュールは歯の大きさをミリメートルで直接測り、歯が大きくなるほど値も大きくなります。ダイヤメトラルピッチはピッチ円直径 1 インチあたりの歯数を測り、歯が大きくなるほど値は小さくなります。同じ物理量を逆方向から表しているため、換算は簡単に見えて、扱いは厄介になります。

図面なしで歯車のモジュールを求めるには?

歯数を数え、歯先円直径を測り、m = 歯先円直径 / (歯数 + 2) を計算します。答えを優先モジュール系列と比べてください。カタログのモジュールに近ければメートル系、同じ式のインチ版が標準 DP に近ければインチ系の歯車です。カタログ値の中間に落ちる場合は、たいてい転位歯車です。

メートル系の歯車はインチ系の歯車とかみ合いますか?

偶然に合うことはあっても、当てにはできません。換算後のピッチが近い場合でも、圧力角、歯形、転位はたいてい異なるため、歯面の誤った位置で当たります。片方だけでなく、両方を交換してください。

歯車の精度は数字が大きいほど良いのですか?

規格によります。旧規格 AGMA 2000-A88 では、Q の数字が大きいほど公差が厳しくなります。ISO 1328-1 および ANSI/AGMA ISO 1328-1-B14 では、等級の数字が小さいほど公差が厳しくなります。等級は、それが出てきた規格とセットで必ず書いてください。

参考資料

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Gear Module vs Diametral Pitch: 25.4 Is Not a Fit