熱抵抗値(R値)・熱貫流率(U値)・熱伝導率(λ)は、断熱材と建材の見積もりが静かに崩れる場所です。3つの数字が同じ物理量を3方向から表し、そのうち2つはまったく別の単位系と同じ文字を共有し、1つは材料を薄く切った瞬間に変わります。シドニーのバイヤーとオハイオのバイヤーが同じ「R-2.5」を求めても、指している製品は5倍半違うことがあります。
まず表から始めます。以降はすべてその説明です。
3つの数字を一覧で
| 熱伝導率(λ) | 熱抵抗(R値) | 熱貫流率(U値) | |
|---|---|---|---|
| 何を測るか | 材料そのものを熱がどれだけ通りやすいか | ある厚さが熱の流れをどれだけ抑えるか | 組み上がった部位全体からどれだけ熱が逃げるか |
| 単位(メートル法) | W/(m·K) | m²·K/W | W/(m²·K) |
| 単位(ヤード・ポンド法、米国) | BTU·in/(h·ft²·°F) | h·ft²·°F/BTU | BTU/(h·ft²·°F)——通常はU-factorと呼ぶ |
| 厚さで変わるか | 変わらない | 変わる | 変わる |
| 何に属するか | 材料 | ある厚さでの材料 | 構成全体:断熱材 + 下地 + 表面熱伝達抵抗 |
| 良いのは | 小さいほど | 大きいほど | 小さいほど |
| 主な用途 | 素材のデータシート | ボードやマットの製品表示 | 壁・屋根・窓の法規適合 |
| 関係式 | λ = 厚さ ÷ R | R = 厚さ(m) ÷ λ | U = 1 ÷(構成中のすべてのR値の合計) |
覚えておきたい一文です。**熱伝導率は材料を、R値は製品を、U値は建物を表します。**3つのうち間違ったものを送ってくるサプライヤーは、数値を間違えているのではありません。バイヤーが聞いていない質問に答えているのです。
同じ製品がオーストラリアでは「R-2.5」、米国では「R-14」になる理由
これは実際にお金が動く落とし穴で、丸めの問題ではありません。
米国は断熱材の表示にh·ft²·°F/BTUのヤード・ポンド法R値を使います。オーストラリア、ニュージーランド、英国、欧州大陸はm²·K/Wのメートル法R値を使い、カナダはこれをRSIと表記することが多い量です。換算は固定です。
| 方向 | 式 | 計算例 |
|---|---|---|
| メートル法 → ヤード・ポンド法 | R(米国) = RSI × 5.678 | RSI 2.5 → R-14.2 |
| ヤード・ポンド法 → メートル法 | RSI = R(米国) ÷ 5.678 | R-19 → RSI 3.35 |
| 一般的な天井用マット | RSI 5.3 | ≈ R-30 |
| 一般的な米国の壁用マット | R-13 | ≈ RSI 2.29 |
R5.3と表示されたオーストラリアの天井用マットと、R-30と表示された米国の天井用マットは、ほぼ同じ製品です。単位を書かずに比較表へ並べると、性能が6倍違うように見えます。まさにこれを根拠に誤った製品を指定した買い手は実在しますが、その出荷は拒否できません。表示はそれぞれの体系の中では正確だったからです。
ルール:単位系が示されていないR値は仕様ではありません。R 2.5 m²·K/W (RSI) あるいは R-14 h·ft²·°F/BTU (US) と書きます。AWGとmm²のケーブル規格を誤発注させないための規律とまったく同じで、古くからの2つの番号体系、似た見た目の数字、そして安全な近道は存在しません。
材料に属するのは熱伝導率だけ
熱伝導率(λ)はワット毎メートル毎ケルビンで表され、その物質を熱がどれだけ通りやすいかを、量に関係なく示します。厚さが変わっても生き残るため、材料技術者が求めるのはこの数値です。
データシートの妥当性を確認するための目安値です。
| 材料 | λ, W/(m·K) |
|---|---|
| PIR(ポリイソシアヌレート)ボード | 0.022–0.028 |
| 押出法ポリスチレンフォーム(XPS) | 0.029–0.037 |
| ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS) | 0.031–0.038 |
| ロックウール・グラスウール | 0.033–0.040 |
| 針葉樹材 | 0.12–0.14 |
| ALC(軽量気泡コンクリート) | 0.11–0.20 |
| 普通コンクリート | 1.3–1.7 |
| 鋼 | ~50 |
ここでサプライヤーが間違えることが2つあります。1つ目は、10 °Cの乾燥状態で測定した宣言値を、そのまま実使用時の値のように示すこと。欧州がEN ISO 10456で宣言値と設計値を区別しているのはまさにこのためで、独立気泡フォームでは発泡剤が年単位で抜けていく経年変化も無視できません。2つ目は、買い手がR値を必要としているのにλだけを示し、使えないと言われて驚くこと。厚さがなければ、λは箱の中の製品について何も答えません。
R値:切り厚を変えると変わる数字
R値は厚さを熱伝導率で割った値です。λ = 0.022 W/(m·K) のボードで見てみます。
| ボード厚さ | R値(m²·K/W) | ヤード・ポンド法の相当値 |
|---|---|---|
| 25 mm | 1.14 | R-6.5 |
| 50 mm | 2.27 | R-12.9 |
| 80 mm | 3.64 | R-20.7 |
| 100 mm | 4.55 | R-25.8 |
R値は厚さに比例するため、「1インチあたりのR値」や「25 mmあたりのR値」は材料を比べる正当な方法です。そして、買い手がその値をボード全体の値だと読めば、正当な誤誘導の方法にもなります。供給する製品そのものの厚さでのR値を掲載し、25 mmあたりの値は別項目としてラベルを付けて示してください。
もう1つ、紛争を生む記載漏れが呼び厚さと実厚さです。50 mmとして販売されたボードの実測が48 mmなら、得られるのはR 2.27ではなくR 2.18、約4%不足します。買い手の適合計算が呼び値で行われ、検査員が実測値を測れば、その差を説明するのはあなたです。厚さ公差はR値と同じ表に記載してください。
U値:法規が実際に確認する数字
U値は、断熱材、下地、外装、空気層、室内外の表面熱伝達抵抗まで含めた完全な部位の総熱抵抗の逆数で、壁・屋根・床・窓について計算し、W/(m²·K)で表します。不透明部位の計算方法はISO 6946が定めています。
単体の製品についてU値を示せるサプライヤーは存在しません。それを載せているデータシートは、買い手のものではない構成を勝手に想定しています。窓とドアは例外です。完成品として供給されるため窓全体のU値には意味があります。ただしそれはガラス中央部のU値とは別物で、後者は常に見栄えのよい数字です。
**バイヤーに製品のU値を聞かれたときの答え方:**供給厚さでのR値、熱伝導率、公差付きの厚さを示し、U値は構成次第だとはっきり伝えます。1行で済み、その1行が力量として読まれます。裏付けられないU値を送れば、混乱か、あるいは後で責任を問われる主張として読まれます。
翻訳に耐える仕様行の書き方
崩れるのは物理ではほぼありません。工場を出るときは正しかった数字が、商品ページ、翻訳版のデータシート、モールの入力フォームに着いた時点で単位を失うのです。耐える仕様行はこうなります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 製品 | PIR断熱ボード、アルミ面材 |
| 呼び厚さ | 50 mm(公差 −0 / +2 mm) |
| 宣言熱伝導率(λD) | 0.022 W/(m·K)、EN 12667、平均温度10 °C |
| 熱抵抗(R) | 50 mmで2.27 m²·K/W |
| ヤード・ポンド法相当 | R-12.9 h·ft²·°F/BTU |
| 25 mmあたり | R 1.14 m²·K/W |
| U値 | 構成による。ISO 6946で算出 |
7行、曖昧さなし、すべての数値が明示された厚さと規格に紐づいています。
そのうえで、厚さとR値を商品画像の上に載せます。3画面下の表だけにしないでください。カタログやモールを見るバイヤーはまず画像を見ますが、白背景で撮影されたボードは25 mmでも100 mmでも見分けがつきません。寸法・仕様の注釈に特化したツールなら、実測した厚さと基準となる仕様を写真に直接書き込み、各チャネルが要求するサイズで書き出せます。数値は実物のボードから測ったものです。ここが汎用の画像編集ソフトでは手間になり、AI画像生成ではそもそも不可能な部分です。生成AIは、測っていないもっともらしい数字を出すだけだからです。同じ考え方はカテゴリー全体に当てはまり、建材の寸法表記の方法でも整理しています。きれいに寸法が入った商品画像がどんなものかは、寸法入り商品画像の例で確認できます。
見積もり前チェックリスト
- すべてのR値に単位系を併記する——
m²·K/Wかh·ft²·°F/BTU。裸の数字にしない - 熱伝導率は試験規格と平均温度とともに示し、宣言値か設計値かを明記する
- R値は供給する厚さで示し、25 mmあたりの値は別項目としてラベルを付ける
- 厚さは公差付きで、呼び値と実測値を区別する
- 完成した組立品ではない製品にU値を示さない
- 窓とドアは、ガラス中央部ではなく製品全体のU値を示す
- ヤード・ポンド法の相当値は発生源で5.678の係数を使って一度だけ計算し、下流で再計算しない
- 厚さとR値をデータシートだけでなく商品画像にも記載する
- 独立気泡フォーム製品は経年変化を開示する
よくある質問
R値とU値の違いは何ですか?
R値は熱の流れに対する抵抗を表し、断熱性能が高いほど大きくなります。U値は完成した部位を熱がどれだけ通すかを表し、性能が高いほど小さくなります。両者は逆数の関係です。U = 1 ÷(表面熱伝達抵抗を含む、その構成のすべてのR値の合計)。R値は製品に属し、U値は壁・屋根・床・窓に属します。
断熱材の熱伝導率(λ)とは何ですか?
熱伝導率(λ)はワット毎メートル毎ケルビン W/(m·K) で表す値で、厚さに関係なく材料を熱がどれだけ通りやすいかを示します。小さいほど良い数値です。厚さ(m)をλで割るとR値になります。λ = 0.022 の50 mmボードなら R = 0.05 ÷ 0.022 = 2.27 m²·K/W です。
R値をRSIに換算するには?
RSI = 米国式R値 ÷ 5.678、米国式R値 = RSI × 5.678 です。RSIはm²·K/Wのメートル法熱抵抗、米国式R値はh·ft²·°F/BTUです。米国のR-19はRSI 3.35、オーストラリアのR2.5は米国のおよそR-14.2に当たります。カナダは同じラベルに両方を印字することが多く、この慣行は真似する価値があります。
なぜオーストラリアのR値は米国より大幅に低く見えるのですか?
性能が違うのではなく、単位が違うからです。オーストラリア、ニュージーランド、英国、欧州はm²·K/Wのメートル法R値を使い、米国は同じ製品で5.678倍大きくなるh·ft²·°F/BTUのR値を使います。オーストラリアのR5.3の天井用マットは、おおむね米国のR-30に相当します。換算せずに市場をまたいで数字だけを比べることは、断熱材取引でもっとも多い仕様ミスです。
自社の断熱ボードにU値を示してもよいですか?
単体では示せません。U値は下地、空気層、外装、表面熱伝達抵抗を含む完全な部位を表すため、買い手の構成によって変わります。熱伝導率、公差付きの厚さ、その厚さでのR値を示し、U値は買い手または設計者がISO 6946に従って計算します。窓やドアのような完成した組立品は例外で、それらはガラス中央部ではなく製品全体のU値を示してください。
