G90 と Z275 の違い:同じ亜鉛量、三通りの読み間違い

G90 と Z275 の違いは単位だけで、どちらも両面合計 275 g/m² の亜鉛です。めっき付着量の表示記号をどう読むか、そして輸出仕様書がどこで崩れるかを整理します。

G90 と Z275 の違い:同じ亜鉛量、三通りの読み間違い

G90 と Z275 は、二種類のめっきから選ぶという話ではありません。同じ亜鉛量を二つの単位系で書いただけで、片方を提示してきたミルは、もう片方も同時に提示しています。実際に問題になるのは一段下の層です。この数字は質量であって厚さではなく、しかも両面の合計であって、風雨にさらされる面についての約束ではありません。

私が見てきた亜鉛めっき関連のトラブルのうち、クレームにまで至ったものはほぼすべて、三つの具体的な読み間違いから出ています。それぞれが隠れている条文と一緒に、順に開いていきます。

G90 と Z275 の違い:同じめっきを二つの単位系で書いたもの

ASTM A653/A653M は連続溶融亜鉛めっき鋼板を対象とする規格で、めっきの表示記号を二度公表しています。ヤード・ポンド単位で一度、SI 単位でもう一度です。換算は定数一つで済みます。

1.00 oz/ft² = 305 g/m²

したがって G90、つまり 0.90 oz/ft² は 275 g/m² です。それが Z275 です。同じコイル、同じめっき、注文書の書き方が違うだけです。文字はめっきの組成を示し(G は galvanize、亜鉛を指します)、数字は 3 点試験(トリプルスポット)平均値の最小値で、両面合計、測定は ASTM A924/A924M によります。

ヤード・ポンド単位(A653 で発注) oz/ft² 両面合計 SI 単位(A653M で発注) g/m² 両面合計 めっき厚さ、両面 均等に分かれた場合の片面
G30 0.30 Z90 90 ≈ 0.013 mm ≈ 6 µm
G40 0.40 Z120 120 ≈ 0.017 mm ≈ 9 µm
G60 0.60 Z180 180 ≈ 0.026 mm ≈ 13 µm
G90 0.90 Z275 275 ≈ 0.038 mm ≈ 19 µm
G115 1.15 Z350 350 ≈ 0.049 mm ≈ 25 µm

厚さの列は換算で出した値であって、規格が定めた値ではありません。GalvInfo Center は関係式を 1.00 oz/ft² = 0.00168 in = 305 g/m² = 0.0427 mm として公表しており、亜鉛の密度 446 lb/ft³(7,140 kg/m³)を根拠にしています。同センター自身の計算例では G90 を両面で「約 1.6 mils(0.0016 inches、約 42 microns)」、片面で「約 0.0008 inches(21 microns)の亜鉛」と丸めていますが、上の定数で計算すると両面で約 38 µm になります。数ミクロンの差で議論しているわけで、そのずれ自体が要点です。めっき付着量は試験片を秤量し、めっきを剥離して再度秤量して求めます。厚さは仕様に直接書けるほどの精度では測れないからです。

より重い記号もあります。G165 や G210 です。ただし特殊な用途向けで、薄物には基本的に対応できません。0.5 mm の鋼板の仕様書にそれを書き込むのは、自分の引き合いを静かに見積不能にする行為です。

欧州のミルは EN 10346 に基づく連続溶融めっき平板製品について、同じ「Z + 数字」の形式で提示してきます。数字の意味は同じで、1 平方メートルあたりの亜鉛のグラム数、両面です。ただし合否判定の試験は A924 ではなく欧州規格に沿って書かれているため、EN の証明書上の Z275 と ASTM の証明書上の Z275 は同じ目標値であっても、自動的に同じ書類になるわけではありません。どの規格で買うのかを明記してください。

落とし穴 1:両面合計は片面ずつ半分という意味ではありません

これが高くつきます。G90 と Z275 の違いは単位の問題ですが、両面合計か片面ごとかは金額の問題です。どちらの記号も両面合計の数値であり、規格は亜鉛が均等に分かれることを要求していません。

A653/A653M が 1 コイルに対して実際に何を求めているかを見てください。

表示記号 3 点試験の平均値 1 点試験、両面合計 1 点試験、いずれか片面
G90 最小 0.90 oz/ft² 最小 0.80 oz/ft² 通常 0.32 oz/ft² を下回らないこと
Z275 最小 275 g/m² 最小 235 g/m² 通常 94 g/m² を下回らないこと

最後の列をもう一度読んでください。亜鉛が均等に分かれた Z275 のコイルなら片面 137.5 g/m² です。片面あたりの下限は 94 g/m²、およそ三分の一少ない値です。Z275 と表示されたコイルが、風雨にさらされる面に 94 g/m² しか亜鉛を持っていなくても、規格上は正当な Z275 です。

この数字の背後にある規則は、片面は通常、規定された 1 点試験・両面合計の最小値の 40 % 以上になる、というものです。G90 なら 0.80 の 40 %、それが表にある 0.32 oz/ft² です。

屋根材、外装材、筐体、ダクトのように、一方の面が露出し他方が露出しないものでは、表向きの表示記号よりこちらのほうが効いてきます。亜鉛めっきの耐食性能はめっき厚さにほぼ比例します。G60 は G30 の二倍の厚さで、赤錆 5 % に達するまでの期間もおよそ二倍、G90 は G60 より約 50 % 厚く、性能も約 50 % 良くなります。露出面で亜鉛が三分の一失われれば、注文書の文字を一つも変えないまま、その梯子を一段下りたことになります。

では、どうするか。 耐食の役目を片方の面が担っているなら、両面合計で書くのはやめてください。片面ごとの表示記号で発注します。

落とし穴 2:60G60G と 13Z13Z は逆から読みます

2007 年に ASTM は片面・1 点のめっき表示記号を A653/A653M に追加しました。自動車業界の書き方をとっています。数字が先に来て、それが片面ごとの要求であることを示します。

  • 60G60G —— 各面の任意の 1 点で亜鉛が最小 60 g/m²、最大 110 g/m²
  • 13Z13Z —— 電気亜鉛めっき鋼板の A879/A879M に基づき、各面で最小 0.13 oz/ft²、最大 0.23 oz/ft²

ここからが全員を引っかける規則です。出典と同じくらい率直に書きます。溶融亜鉛めっきでは、ASTM は数字の前に置く G をヤード・ポンド単位、Z を SI 単位として使い、いずれも両面合計です。電気亜鉛めっきでは、数字の後ろに置く G が SI、Z がヤード・ポンド単位を意味し、いずれも 1 点・片面です。同じ二文字が、数字のどちら側に立つかで意味を反転させます。

つまり「Z275」も「13Z13Z」も Z を含みますが、一方は両面合計 275 g/m²、もう一方は各面で最小 0.13 oz/ft² です。文字のパターンだけで判断する購買担当者は必ず間違えますし、ミルは注文書に書かれたとおりに出荷します。

もう一つ、体に覚えさせておく価値のある帰結があります。片面ごとの表示記号は下限だけでなく上限も定めますが、両面合計の表示記号は下限しか定めません。そして二つの体系の間で正確な換算はできません。両面合計は不均等な配分を許容する 3 点平均値であるのに対し、片面ごとの値はすべての 1 点で守らなければならない絶対的な下限だからです。

公表されている計算例がこれを具体的にしてくれます。G60 のめっきの両面合計最小厚さは約 1.0 mil で、90G90G の片面最小値 12.5 µm の二倍にきわめて近い値です。同等に見えます。同等ではありません。G60 は公差の範囲内で亜鉛をどちらの面に寄せてもよく、90G90G はそれができないからです。

落とし穴 3:めっき付着量の表示記号は下限であって目標値ではありません

A653 の表 1 の表示記号が定めるのは最小値です。最大値はありません。実際の製造では、ミルがその最小値を保証できるように、めっきは最小値より数パーセント上で流れます。

これは部署ごとに別々の形で表面化します。

技術部門にとって、「G90 を指定しました」は上限について何も語っていません。鋼板を成形し、溶接し、塗装するなら上限は効いてきます。亜鉛が厚いほど金型に厳しく、塗膜密着性の挙動も変わります。上限が重要なら、上限を持っている片面ごとの表示記号が必要です。

営業にとっては、ともに Z275 を提示している二社が同じものを売っているとは限りませんし、どちらも嘘をついていません。自社のコイルが実際に厚めに流れていても、表示記号がそれを示すことは永遠にありません。示せるのはミルシートの実測値だけです。その数値を、添付資料に埋めるのではなく、表示記号の隣、買い手の目が届く場所に置いてください。Ra と Rz の表面粗さの数値を装飾ではなく実用にするのと同じ規律です。

合金化溶融亜鉛めっきは別のアルファベット:A40 と ZF120

亜鉛-鉄合金めっき鋼板、いわゆる合金化溶融亜鉛めっき鋼板(ガルバニール)は、同じ A653/A653M のもとで製造されますが、表示記号の体系が異なります。

ヤード・ポンド単位 要求内容 SI 単位 要求内容
A25、A40、A60 oz/ft² の 3 点試験平均値、両面合計 ZF75、ZF120、ZF180 g/m² の 3 点試験平均値、両面合計

A40 は両面合計 0.40 oz/ft²、1 点試験の両面合計下限が 0.30 oz/ft²、いずれか片面で通常 0.12 oz/ft² を下回らないこと、という内容です。ZF120 は両面合計 120 g/m²、1 点試験の両面合計 90 g/m²、いずれか片面で通常 36 g/m² を下回らないことです。合金化めっきの片面ごとの表示記号も同じ「数字が先」の形式に従い、45A45A は各面で最小 45 g/m²、最大 75 g/m² を意味します。

このめっきは鉄をおよそ 8 〜 10 % 含むため、同じ質量の純亜鉛めっきよりわずかに密度が高く、わずかに薄くなります。仕様の場面では無視してよい程度の差ですが、公称の付着量が同じでも合金化めっきと亜鉛めっきが塗装下で同じ挙動をしない理由を説明するには十分な差です。

引き合いに「A40 または同等品」と書いてあり、ミルがそれを G40 と読めば、亜鉛-鉄合金が純亜鉛に置き換わります。同じ数字、違うめっき、違う溶接性です。

ASTM A653 と A123:鋼板と加工品は別物です

輸出の引き合いで最も多いカテゴリーの取り違えが、加工済みの部品に G90 を指定することです。

American Galvanizers Association によれば、「G90 は亜鉛めっきの仕様ではなく、めっき厚さの表示記号です」。これは連続鋼板めっき、つまりコイルが高速で亜鉛浴を通過する工程に属します。ASTM A123/A123M は、先に加工してからバッチ式の亜鉛浴に浸漬する製品のための規格で、めっき厚さを鋼材の分類と厚さによって規定します。鋼板の oz/ft² では規定しません。

二つの工程が生むめっきは同じものではありません。連続鋼板めっきは薄く成形性があり、めっき後の曲げに耐えます。バッチめっきは厚く合金層を持ち、完成した組立品をよりよく保護しますが、めっき後に成形することはできません。

つまり、曲げてから浸けるなら A123、コイルにめっきしてから成形するなら A653 です。溶接フレームに「溶融亜鉛めっき G90」と書かれた図面は、その部品には存在しない工程を要求しており、返ってくる見積はどれも黙って別々に解釈し直したものになります。

めっきの一行を誤読されないように書く方法

G90 と Z275 の違いを正しく押さえるのは簡単なほうの半分です。六つの項目があれば、めっきの指示はミルも検査員も買い手も同じように読める一行になります。私が工業仕様図や見積書に載せるのはこの一行です。

  • 規格と版 —— ASTM A653/A653M か EN 10346 かを明記します。同じ表示記号でも試験のされ方が違うためです
  • 表示記号は印字どおりに —— Z275 と書き、「275 亜鉛」とは書かない。60G60G と書き、「60G」とは書かない
  • 基準 —— 書式が既に含意していても、表示記号の隣に「両面合計」か「各面」かを言葉で書きます
  • どちらの面が役目を負うか —— 一方が露出面なら、そう述べたうえで、その面に片面ごとの最小値を指定します
  • 必要なら上限 —— 成形、溶接、塗膜密着性のために要ります。上限を持つのは片面ごとの表示記号だけです
  • 試験方法と証明書 —— ASTM A924/A924M。表示記号だけでなく、ミルシートの実測値を報告させます
  • 母材の板厚をめっきと並べて —— 重い表示記号は薄物には出せないため、めっきは板金ゲージのミリ換算の指示と対にして、別々の書類に分けないでください

よくある質問

G90 と Z275 は同じものですか。

同じです。G90 と Z275 の違いは単位の違いであって、めっきの違いではありません。G90 は両面合計で 0.90 oz/ft² の亜鉛、1.00 oz/ft² は 305 g/m² に換算されるので、0.90 oz/ft² は 275 g/m² になります。ASTM A653/A653M における同一のめっき付着量の、ヤード・ポンド表記と SI 表記です。

Z275 のめっきは何ミクロンの厚さですか。

両面合計でおよそ 38 から 42 µm、亜鉛が均等に分かれていれば片面でおよそ 19 から 21 µm です。1.00 oz/ft² = 0.0427 mm の関係から換算した値です。規格が定めているのは厚さではなくめっき付着量なので、ミクロンの数値はあくまで換算値であり、要求値としては扱わないでください。

Z275 は各面に 275 g/m² という意味ですか。

違います。しかもこれがこの体系全体で最も高くつく読み間違いです。Z275 は両面を合わせて 275 g/m² です。いずれか片面の 1 点あたりの下限は通常 94 g/m² を下回らない、という水準です。片面に保証された量が必要なら、60G60G のように各面に最小値と最大値の両方を定める片面ごとの表示記号で発注してください。

溶接した鋼製フレームに G90 を指定できますか。

できません。G90 は ASTM A653/A653M の連続亜鉛めっき鋼板に属します。溶接後にめっきする加工組立品は ASTM A123/A123M の対象で、この規格はコイルの oz/ft² ではなく鋼材の分類によってめっき厚さを規定します。

めっき仕様を製品画像に載せて、文字の壁にしないためにはどうすればよいですか。

数値は、買い手の視線が既に向いている場所、つまりそれが説明している部位の上に置きます。三画面下の表にあるめっきの指示は読み飛ばされますが、露出面を指す引出線に載った同じ値は読まれます。それを成立させるには、注記が実際の形状に固定されていなければなりません。実測した稜線、実在するその面です。そうして初めて「Z275、各面、露出面」がそれの指す表面に着地し、図面上の外形寸法も実測値になります。そこが実測に基づく注記ツールと画像生成 AI の分かれ目です。前者は自ら測ったものに値を添え、後者は加工された写真の横にもっともらしい数字を出すだけです。注記のレイヤーを生きた編集可能な状態に保っておけば、Z275 から Z350 への変更は 1 項目の修正であって、描き直しにはなりません。粉体塗装の仕様の指示に当てはまるのと同じ理屈です。

参考資料

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G90 と Z275 の違い:同じ亜鉛量、三通りの読み間違い