オフィスチェアの座面高さ規格:4つのタイプ、4つの寸法域

オフィスチェアの座面高さ規格をタイプ別に整理します。EN 1335-1 表 2 の Ax・A・B・C の数値、BIFMA が寸法を定めない理由、輸出バイヤーが確認する 4 行。

オフィスチェアの座面高さ規格:4つのタイプ、4つの寸法域

欧州のバイヤーが確認しているオフィスチェアの座面高さ規格は、ひとつの数字ではなく、4 つのチェアタイプに分かれた一枚の表です。申告したタイプの枠から外れた椅子は、コンテナをブッキングするはるか手前、書類審査の段階で止まります。この寸法を定めているのは EN 1335-1 で、ANSI/BIFMA X5.1 は寸法を一切定めていません。「座面高さ 45–55 cm」とだけ答えて終わるサプライヤーは、誰も聞いていない質問に答えていることになります。

バイヤーが読んでいる表、各列の意味、そして仕様書に載せるべき 4 行を順に見ていきます。

オフィスチェアの座面高さ規格:4 タイプを一覧で

EN 1335-1:2020、Office furniture — Office work chair — Part 1: Dimensions — Determination of dimensions(オフィス家具—オフィス用ワークチェア—第 1 部:寸法—寸法の決定)は、Ax、A、B、C の 4 タイプについて寸法と、その測定方法を規定しています。調整幅が最も大きいのは Ax タイプと A タイプ、最も小さいのは C タイプです。規格はどのタイプが優れているとは述べていません。示しているのはその椅子がどれだけの調整量を備えているかであり、これはまさに購買担当者が 2 件の見積を比べる前に知っておくべき情報です。

以下の数値はすべてミリメートルで、EN 1335-1:2020 の表 2 から引用しています。

調整式の寸法

寸法(調整式) Ax タイプ A タイプ B タイプ C タイプ
座面高さ/座高 400–540、最小調整範囲 160 400–520、最小調整範囲 130 420–510、最小調整範囲 100 430–480、最小調整範囲 80
座面の奥行き 380–430、最小調整範囲 70 425–450、最小調整範囲 70 425–445、最小調整範囲 50 425 以上、最小調整範囲の規定なし
ランバーサポートの高さ 170–300、範囲内で最小調整量 70 170–300、範囲内で最小調整量 70 170–300、範囲内で最小調整量 50 170–300、最小調整範囲の規定なし
アームレストパッド間の有効距離 410–510 410–510 460–510 460–510
アームレストの高さ 200–290、最小調整範囲 100 200–290、最小調整範囲 100 225–250、最小調整範囲 50 200–250、最小調整範囲の規定なし

固定式の代替値と外側の限界値

寸法 Ax タイプ A タイプ B タイプ C タイプ
固定式の座面奥行き 不可 不可 425–485 425 以上
固定式のランバーサポート高さ 不可 不可 170–300 170–300
固定式のアームレストパッド間距離 不可 不可 460–510 460 以上
固定式のアームレスト高さ 不可 不可 225–275 200–250
背もたれからアームレスト前端までの最大距離 ≤ 200 ≤ 300 ≤ 350 ≤ 400
アームレストを最も広げたときの臀部幅クリアランス ≥ 480 ≥ 480 ≥ 460 ≥ 460
座面パッドの幅 ≥ 400 ≥ 400 ≥ 400 ≥ 400
座面パッドの奥行き ≥ 380 ≥ 380 ≥ 380 ≥ 380

各列を推測せずに読む方法

表 2 は各寸法について、2 つではなく 4 つの情報を与えます。下限値上限値、下限を下回ることが許されるか、上限を上回ることが許されるか、そして調整式の寸法についてはもうひとつ、最小調整範囲です。

サプライヤーが読み飛ばすのは最後の列で、しかもタイプを決めるのはその列です。2 脚とも「座面高さ 420〜500 mm」と書けても、A タイプに該当するのは片方だけです。A タイプは少なくとも 130 mm のストロークを求めるのに対し、その椅子は 80 mm しかないからです。範囲とストロークは別々の要求事項であり、椅子は両方を満たさなければなりません。

平易な一文に置き換えると、 「A タイプの座面高さ:調整は 400–540 mm の領域内で機能し、使用者に少なくとも 130 mm のストロークを与えること。400 を下回ること、520 を上回ることは許容であって必須ではない」 となります。規格が調整式ではなく固定式と定めている箇所については、Ax と A では単純に認められません。固定式の座面奥行きは B タイプまたは C タイプの特徴であり、例外はありません。

**オフィスチェアの座面高さ規格は「範囲+ストローク値」であって、単一の測定値ではありません。**両方を提示して初めて提示したことになります。片方だけなら、どちらも提示していないのと同じです。

椅子が差し戻される 4 行

質問付きで返ってくる見積書から見えてくる、現場のパターンです。

  1. **座面高さを、床からクッション上面まで、荷重をかけない状態で提示している。**EN 1335-1 は数値だけでなく測定方法も定めています。第 1 部のタイトルがそのまま「寸法の決定」です。メジャーを当てる位置が 20 mm ずれれば、椅子はタイプの境界をまたぎます。
  2. **アームレストの高さは書くが、アームレスト間の距離は書かない。**アームレストパッド間の有効距離には独自の限界値があり、Ax と A は 410–510 mm、B と C は 460–510 mm です。固定式が認められるのは B と C だけです。A タイプを指定して固定式アームレストが届いたバイヤーは、その場で不合格にします。
  3. **座面パッドの幅と奥行きを「だいたい合っている」で済ませている。**この 2 つは範囲ではなく下限です。幅 ≥ 400 mm、奥行き ≥ 380 mm で、4 タイプすべて同一です。奥行き 370 mm のパッドが通るタイプは存在しません。
  4. **背もたれからアームレスト前端までの距離に、一度も触れていない。**これは最大値で、Ax の 200 mm から C タイプの 400 mm まで広がります。そして、ほとんどのカタログが存在すら知らない寸法でもあります。

椅子と並行して他の家具も欧州へ出しているなら、隣のカテゴリーでも同じ規律が効きます。カウンター高さとバー高さのスツールが、まさに同じ「明示されない測定方法」で崩れる様子をご覧ください。

BIFMA が答えているのは、まったく別の質問

北米のバイヤーは BIFMA について尋ねてきますし、サプライヤーはそれをアメリカ版の EN 1335 だと思い込みがちです。違います。

  • ANSI/BIFMA X5.1, General-Purpose Office Chairs(2017 年版)は性能・耐久性の試験規格です。背もたれ強度、座面落下衝撃、アーム強度、安定性など、椅子が耐えるべき一連の試験を定めています。ミリ単位の表は出てきません。
  • BIFMA G1-2013、すなわちコンピューター作業向けオフィス空間で用いる家具のエルゴノミクスガイドラインはガイドラインであり、その要約版「Ultimate Test for Fit」は数値ではなく言葉によるフィット基準で書かれています。使用者は「太もも裏に過度な圧迫を受けずに、足を床またはフットレストに快適に置けること」、胴と太ももの角度は「90° を下回らないこと」、座面はアームレストの使用を妨げない幅であること。いずれも実務的なエルゴノミクス基準ですが、規定寸法はゼロです。
  • 欧州側の切り分けは意図的です。EN 1335-1 が寸法、EN 1335-2 が安全性・強度・耐久性の要求事項(1 日 8 時間の使用、使用者の体重 110 kg までを前提)、EN 1335-3 が安定性・強度・耐久性の機械試験方法です。

**EN 1335-1 は椅子の寸法がどうあるべきかを示し、BIFMA X5.1 は椅子が何に耐えるべきかを示します。**X5.1 の全試験に合格しながら、調整ストロークだけで EN 1335-1 の A タイプに届かない椅子はあり得ます。ドイツのバイヤーに「BIFMA 試験済み」と申告するのは、聞かれていない耐久性の質問に答えているだけで、寸法の問いは開いたままです。

仕様書に載せるもの、画像に載せるもの

これは別々の仕事で、サプライヤーはたいてい前者しかやらず、しかも中途半端です。

**仕様書には 4 行。**いずれもオフィスチェアの座面高さ規格と、表 2 における近隣の寸法に紐づきます。

項目 この書き方で
タイプ申告 EN 1335-1:2020 適合、A タイプ
座面高さ 420–520 mm 調整式(ストローク 100 mm)、EN 1335-1 に基づき測定
座面パッド 幅 480 mm × 奥行き 430 mm
アームレスト 高さ 200–290 mm 調整式;パッド間の有効距離 410–510 mm

**画像には、同じ数字を視線が落ちる位置に。*5 件の見積を比べているバイヤーは、5 つの PDF を開きません。5 枚の写真を眺めます。座面高さの範囲、座面パッドの幅と奥行き、アームレスト間距離を注記として載せた椅子の写真は、質問される前に第 1 ラウンドの問い合わせをまとめて片づけます。問題は、その注記が正確*でなければならない点です。手描きで足した数字も、画像生成ツールがひねり出した数字も、実測値と見分けがつきません。そしてバイヤーの検査員が現物にメジャーを当てた瞬間、価値はゼロになります。製品の実際のエッジにスナップし、既知の基準物でスケールを換算し、各マーケットプレイスやカタログが求めるサイズで書き出せるソフトウェアなら、検品レポートに耐える数字入りの図面が得られます。それが、単なる椅子の写真と家具スペック図との差です。

バイヤーが比較の土台にする参考数値については、オフィスチェアの標準寸法のページにチェアクラス別の一般的な範囲をまとめています。「形容詞ではなく数字を出す」という同じ考え方は、輸出向けソファの寸法にも通じます。

見積前チェックリスト

  • タイプ(Ax / A / B / C)を版年込みで申告——「EN 1335」ではなく「EN 1335-1:2020」
  • 座面高さを範囲調整ストローク値の両方で提示
  • 測定方法を明記(EN 1335-1 に基づき、荷重なし、床から座面まで)
  • 座面パッド幅 ≥ 400 mm、奥行き ≥ 380 mm を試作品ではなく量産サンプルで確認
  • アームレストの高さ範囲パッド間の有効距離を両方記載
  • 座面奥行き・ランバー高さ・アームレストについて固定式か調整式かを明記——固定式なら Ax と A は除外
  • 背もたれからアームレスト前端までの距離を、タイプごとの最大値と照合
  • バイヤーが寸法ではなく耐久性を求めた場合は、EN 1335-2 / EN 1335-3 の試験報告書を別行で
  • BIFMA X5.1 の報告書は耐久性の回答として提示し、寸法の回答としては決して使わない
  • 同じ数字が PDF だけでなく製品画像にも載っている

FAQ

欧州でのオフィスチェアの標準座面高さは?

単一の数値はありません。EN 1335-1:2020 はチェアタイプごとに定めており、Ax タイプ 400–540 mm、A タイプ 400–520 mm、B タイプ 420–510 mm、C タイプ 430–480 mm、それぞれに最小調整範囲(順に 160、130、100、80 mm)が付きます。タイプを示さずに 1 つの数値だけを出すから、バイヤーから質問が返ってくるのです。

EN 1335 の A タイプ、B タイプ、C タイプの違いは?

調整量です。Ax タイプと A タイプは座面奥行き、ランバー高さ、アームレストの調整式を求め、ストロークも最大です。B タイプはそのうちいくつかを規定の限界値内で固定式にできます。C タイプは固定要素が最も多く、座面高さのストロークも最も狭い(80 mm)タイプです。タイプの申告違いは仕様の誤りであって、品質クレームではありません。

BIFMA はオフィスチェアの寸法を規定していますか?

いいえ。ANSI/BIFMA X5.1 は汎用オフィスチェアの性能・耐久性試験規格であり、BIFMA G1-2013 はミリ単位の限界値ではなくフィット基準として書かれたエルゴノミクスガイドラインです。北米のバイヤーが寸法適合を必要とするなら、寸法規格を名指しする必要があります。X5.1 はそれを与えてくれません。

仕様書用の座面高さはどう測ればよいですか?

EN 1335-1 の方法に従います。第 1 部のタイトルに「寸法の決定」が含まれているのはそのためです。規格の手順に別段の定めがない限り、椅子に荷重をかけない状態で座面まで測り、どの方法を用いたかを仕様書に明記します。測定方法が書かれていないことが、自社の数値とバイヤーの検品レポートとの間に 15–25 mm の差が生じる最大の原因です。

1 脚の椅子が EN 1335 と BIFMA の両方に適合できますか?

できますし、実際に多数あります。試験対象が異なるため、報告書は矛盾せずに積み上がります。できないのは、仕様書で一方を他方の代わりに使うことです。EN 1335-1 の行は「どの寸法か」に、X5.1 の行は「どれだけ丈夫か」に答えます。

出典・参考資料

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Office Chair Seat Height Standard: EN 1335 vs BIFMA