IPE と HEA、HEB の違いは、決してスペルの問題ではありません。これは、その形鋼が幅 100 mm なのか 200 mm なのか、1 メートルあたり約 22 kg の鋼か 41 kg の鋼か、通関をすんなり通るか港でコンテナごと差し戻されるかの違いです。佛山の輸出者もロッテルダムの買い手も "HEA 200" と書きますが、頭に描いている梁はまったく別物です。ヨーロッパの形鋼体系では、英字のあとの数字は「名前」であって「寸法」ではないからです。
これは用語を整理するためのガイドであり、構造設計の手引きではありません。以下では、I 形鋼と広幅フランジ(H)形鋼を実際に分けるもの、IPE・HEA・HEB・HEM の数字が何を指すのか、すべて「200」と呼ばれる 3 つの断面の実際の寸法、そして同じ鋼が米国・英国・インド・オーストラリア・カナダでどう呼ばれるかを整理します。鋼を引用・見積もりする立場なら、この語彙が、買い手が図面どおりの梁を受け取れるかを決めます。
I 形鋼と H 形鋼の違いは、フランジ幅に尽きます
I 形鋼(I-beam)は、2 枚の平行なフランジを中央のウェブでつないだ熱間圧延形鋼で、断面は I 字または H 字をしています。ウェブがせん断に、フランジが曲げに抵抗します。フランジがせいに比べて狭ければ断面は「I」に見え、標準の I 形鋼として売られます。フランジが広く、せいと同じ幅にまでなる場合、同じ圧延形状を広幅フランジ鋼、H 形鋼、あるいはユニバーサルビームと呼びます。
この比率ひとつで、命名をめぐる争いのほとんどが説明できます。
- IPE / IPN / I 形鋼——I 形の系統。背が高く細く、ウェブがフランジ幅より明らかに深い。
- HE / W / UB / UC / ISMB——広幅フランジの系統。フランジが広く平行で、梁にも柱にも使えます。
つまり「I 形鋼 vs H 形鋼」は 2 つの製品ではなく、1 本のフランジ幅スケールの両端であり、それぞれに固有の寸法表があります。
IPE・HEA・HEB の違い:英字のあとの数字が意味するもの
IPE 系列(I Profile European)は IPE 80 から IPE 600 まで規格化されています。呼び方は英字+公称高さ(mm)で、重要なのは、フランジが狭いことです。IPE 200 は高さ 200 mm ですが、幅は 100 mm しかありません。
HE 系列は違います。3 つのサブシリーズがあり、いずれも広幅フランジで、違いはフランジ厚だけです。
- HEA——軽量、DIN 1025-3(旧称 IPBl)
- HEB——標準、DIN 1025-2(旧称 IPB)
- HEM——重量、DIN 1025-4(旧称 IPBv)
ここに罠があります。HE 系列の数字は、基準となる HEB 断面の公称全高(mm)を指し、実際に発注する断面の高さではありません。基準高さが 300 mm 以下ではフランジ幅 b がその数字に等しく、300 mm を超えるとフランジ幅は 300 mm に固定されます。この規則のせいで、"HEA 200" は予想とは違う意味になります。
| 断面 | h——高さ (mm) | b——フランジ幅 (mm) | tw——ウェブ (mm) | tf——フランジ (mm) | 公称質量 (kg/m) |
|---|---|---|---|---|---|
| IPE 200 | 200 | 100 | 5.6 | 8.5 | 22.4 |
| HEA 200 | 190 | 200 | 6.5 | 10 | ≈41 |
| HEB 200 | 200 | 200 | 9 | 15 | ≈60 |
| HEM 200 | 220 | 206 | 15 | 25 | ≈103 |
上の 2 行を並べると問題がはっきりします。IPE 200 と HEA 200 はどちらも「200」を名乗りますが、片方は幅 100 mm・22.4 kg/m、もう片方は幅 200 mm で鋼量はほぼ 2 倍です。HEB 200 は HEA 200 と同じフットプリントでウェブとフランジがはるかに厚く、HEM 200 はさらに重く、名前の 200 より実際には高くなります。
質量は公称値です。IPE 200 は標準的な熱間圧延の値、HE の値はあるメーカーのレーザー溶接シリーズの公表値で、熱間圧延の炭素鋼とは 1〜2 kg 程度ずれます。
なぜ "HEA 200" は 200 mm 高ではないのか
基準 HEB の規則が、表の奇妙な高さを説明します。HEA 200 は実測 190 mm で、名前より 10 mm 低いのです。これは「200」が基準である HEB に由来し、HEB 200 が本当に高さ 200 mm だからです。上へ行くほど差は広がり、HE 1000 A は高さ 990 mm、HE 1000 B はきっかり 1000 mm です。
覚えて買い手に繰り返すべき一文はこれです。HE 系列の数字は、その断面がどの HEB を基準にしているかを示すのであって、受け取る鋼の高さを示すのではありません。
だからこそ A・B・M は四則演算では換算できません。HEA・HEB・HEM は、それぞれ固有のウェブとフランジを持つ 3 つの独立した圧延形状であり、同じ金型の 3 つの厚さではないのです。
同じ梁に 5 つの名前
ヨーロッパだけが命名体系ではありませんし、他の体系は 1 対 1 に対応しません。たとえば米国は、高さだけでなく重量も呼び名に織り込みます。
| 市場 | 呼び名の例 | 数字の意味 | 適用規格 |
|---|---|---|---|
| ヨーロッパ(IPE) | IPE 200 | 公称高さ、mm | EN 10365 |
| ヨーロッパ(HE) | HEA 200 | 基準 HEB の高さ、mm | DIN 1025 / EN 10034 |
| 米国 | W10×22 | 高さ(in) × 重量(lb/ft) | ASTM A6 / AISC マニュアル |
| カナダ | W250×33 | 高さ(mm) × 重量(kg/m) | CSA / CISC ハンドブック |
| メキシコ | IR250×33 | 高さ(mm) × 重量(kg/m) | IMCA マニュアル |
| 英国 | 152×152×23 UC | 高さ × 幅 × 質量 × 種類 | BS 4-1 |
| オーストラリア | 460UB67.1 | 高さ + 種類(UB/UC) + kg/m | AS/NZS 3679.1 |
| インド | ISMB 450 | 高さ、mm | IS 808 |
結論は 2 つです。第一に、米国の「W」のあとの数字は高さではなく高さと重量で、W10×22 は約 10 インチ高かつ 22 lb/ft、W14 系列のあるサイズは実に 22.84 インチ深さになります。第二に、IPE 200 を W 形鋼へきれいに換算する表は存在しません。フランジ幅が違うため、高さが合っても幅と重量は合わないのが普通です。
材質グレードまで加わると仕様はさらに長くなります。広幅フランジ形鋼は一般に ASTM A992(降伏 50,000〜65,000 psi、約 340〜450 MPa)、旧来の A36 は 36,000 psi(約 250 MPa)、A572 は 42,000〜60,000 psi です。高さ・幅・厚さ・グレードの 4 つがすべて一致して、はじめて断面が確定します。
梁の仕様が壊れるのはどこか
梁をめぐる紛争は、ほぼ次の 3 つの受け渡しのどれかに起因します。
- 見積もりが幅と厚さを落とし、「200 の梁」だけを残す。ミルは別の断面で値付けする。
- 図面にある断面記号を、読み手が自分の地域の表に当てはめる。
- ミル証明書は断面を裏づけるが、それ自体が寸法と質量の公差を持ち、届いた棒鋼は少し動く。
解決策は、図をきれいにすることではありません。実測の h・b・tw・tf を画像に固定し、数字と形が一緒に運ばれるようにすることです。これは standard steel I-beam sizes の考え方そのもので、各断面は愛称ではなく 4 つの具体的な数値です。見積もり用に梁を注記するなら、実測寸法をエッジに固定できるツール(エッジに吸着する測定、買い手の仕様サイズで書き出す)を使い、汎用の写真編集ソフトや、もっともらしいだけの追跡できない数字を描く AI 画像生成は避けてください。測定に基づく注記は買い手が確認できる約束であり、スタイルを変えた写真は約束ではありません。
売るのが梁ではなくチャンネル、アングル、丸パイプ、角形鋼管なら、同じ「呼び名≠寸法」の罠があります。steel profile dimensions をご覧ください。板厚が話題になるなら、見積もりに入る前に sheet metal gauge to mm で照合してください。
見積もり前の梁仕様チェックリスト
- 系列とサブシリーズを書く:「200 の梁」ではなく IPE 200、「HE 200」ではなく HEA 200
- 4 つの寸法をすべて示す:高さ h、フランジ幅 b、ウェブ厚 tw、フランジ厚 tf
- 規格を明記:IPE と HE は EN 10365 / EN 10034、W は ASTM A6、UB/UC は BS 4-1
- グレードを明記:欧州は S235JR / S355J2、米国 W 形鋼は A992
- 値付けの根拠にした 1 メートルあたりの重量を添え、理論値か実測かを明示する
- 切断前に、買い手の数字が高さであり基準 HEB の高さでないことを確認する
- ミル証明書の公差を見える形で残す——公称は mm 単位で届くことではない
よくある質問
I 形鋼と H 形鋼の違いは何ですか?
せいに対するフランジ幅の比率です。狭いフランジの I 形断面(IPE、IPN、米国 "S" 形)は先が細く、広いフランジの H 形断面(HEA/HEB、W、UB/UC、ISMB)はフランジがせいと同じ幅にまでなります。H 形はねじりと二軸曲げに強く、柱にも梁にも使われます。
IPE と HEA は同じですか?
いいえ。IPE は幅の狭い I 形断面、HEA は広幅フランジ断面です。IPE 200 は 200×100 mm・22.4 kg/m、HEA 200 は 190×200 mm・約 41 kg/m で、数字が一致しても互換ではありません。
なぜ HEA 200 は 200 mm ではなく 190 mm なのですか?
HE の呼び名の数字は A 断面ではなく基準 HEB 断面の公称高さだからです。HEB 200 は高さ 200 mm、そこから派生した軽い HEA は 190 mm です。上へ行くほど A の高さは数字から離れます。
IPE 断面を米国の広幅フランジ鋼に換算するには?
数字では換算できません。4 つの寸法とグレードで照合し、近似を受け入れてください。米国 W 形鋼は重量を呼び名に含み、フランジ幅も異なります。h・b・tw・tf と規格を揃えて買い手に渡し、意図的に代替できるようにしましょう。
W10×22 の数字は何を意味しますか?
高さと重量であり、高さと番号ではありません。「10」は約 10 インチ高、「22」は 1 フィートあたり 22 ポンドです。実際の高さは系列で変わるため、丸い数字を信じず必ず断面表を読んでください。
Sources & References
- Wikipedia — I-beam:定義、IPE 200 の寸法(200 × 100 × 5.6 × 8.5 mm、22.4 kg/m)、米・加・墨・英・豪・印の呼称体系、および適用規格(ASTM A6、BS 4-1、IS 808、AS/NZS 3679.1)。
- Wikipedia (DE) — Profilstahl:IPE・HEA・HEB・HEM の背景にある DIN 1025 ファミリーと EN 10034 との関係。
- Wikipedia (DE) — Breitflanschträger:HEA は DIN 1025-3、HEB は DIN 1025-2、HEM は DIN 1025-4、いずれも EN 10034 に準拠。
- Wikipedia (ES) — Perfil HE:HE の数字が基準 HEB の公称高である規則。300 mm 以下ではフランジ幅 b = h、超えると 300 mm。
- Montanstahl — HEA, HEB & HEM European wide flange beams:HEA 200、HEB 200、HEM 200 の寸法と公称質量の出典表。
